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03月06日-02号

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  1. 大阪市議会 1978-03-06
    03月06日-02号


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    昭和53年第1回定例会(昭和53年3月)◯大阪市会(定例会)会議録(昭和53年3月6日)    ◯議事日程    昭和53年3月6日午前10時開議第1 議案第2号 昭和53年度大阪市一般会計予算第2 議案第3号 昭和53年度大阪市大学医学部付属病院事業会計予算第3 議案第4号 昭和53年度大阪市食肉市場・と畜場事業会計予算第4 議案第5号 昭和53年度大阪市宅地造成事業会計予算第5 議案第6号 昭和53年度大阪市市街地再開発事業会計予算第6 議案第7号 昭和53年度大阪市駐車場事業会計予算第7 議案第8号 昭和53年度大阪市土地先行取得事業会計予算第8 議案第9号 昭和53年度大阪市母子福祉貸付資金会計予算第9 議案第10号 昭和53年度大阪市国民健康保険事業会計予算第10 議案第11号 昭和53年度大阪市心身障害者扶養共済事業会計予算第11 議案第12号 昭和53年度大阪市市民病院事業会計予算第12 議案第13号 昭和53年度大阪市中央卸売市場事業会計予算第13 議案第14号 昭和53年度大阪市港営事業会計予算第14 議案第15号 昭和53年度大阪市下水道事業会計予算第15 議案第16号 昭和53年度大阪市自動車運送事業会計予算第16 議案第17号 昭和53年度大阪市高速鉄道事業会計予算第17 議案第18号 昭和53年度大阪市水道事業会計予算第18 議案第19号 昭和53年度大阪市工業用水道事業会計予算第19 議案第20号 昭和53年度大阪市公債費会計予算第20 議案第21号 昭和53年度大阪市都島本通外20財産区予算第21 議案第22号 大阪市区役所附設会館条例の一部を改正する条例案第22 議案第23号 大阪市区役所附設体育会館条例の一部を改正する条例案第23 議案第24号 当せん金附証票の発売について第24 議案第25号 大阪市立学校授業料幼稚園保育料等に関する条例の一部を改正する条例案第25 議案第26号 大阪市立美術館条例の一部を改正する条例案第26 議案第27号 建物の取得について第27 議案第28号 大阪市立大学の授業料等に関する条例の一部を改正する条例案第28 議案第29号 大阪市中小企業融資基金条例の一部を改正する条例案第29 議案第30号 大阪城天守閣条例の一部を改正する条例案第30 議案第31号 大阪市高齢者居室整備資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第31 議案第32号 大阪市立児童福祉施設条例等の一部を改正する条例案第32 議案第33号 大阪市立老人福祉施設条例の一部を改正する条例案第33 議案第34号 大阪市国民健康保険条例の一部を改正する条例案第34 議案第35号 大阪市立労働会館条例の一部を改正する条例案第35 議案第36号 大阪市市民病院事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案第36 議案第37号 大阪市立栄養専門学校条例の一部を改正する条例案第37 議案第38号 大阪市立助産婦養成施設条例の一部を改正する条例案第38 議案第39号 大阪市立厚生女学院条例の一部を改正する条例案第39 議案第40号 大阪市看護婦等修学資金貸与条例の一部を改正する条例案第40 議案第41号 水洗便所設備資金貸付基金条例の一部を改正する条例案第41 議案第42号 大阪市都市再開発融資基金条例の一部を改正する条例案第42 議案第43号 大阪市住宅建設資金融資基金条例の一部を改正する条例案第43 議案第44号 大阪市港湾施設条例の一部を改正する条例案第44 議案第45号 大阪市乗合自動車料金条例の一部を改正する条例案第45 議案第46号 大阪市高速鉄道乗車料条例の一部を改正する条例案第46 議案第47号 大阪市交通事業再建計画の一部変更について---------------------------------------◯出席議員 93人(欠は欠席者)  1番   勝田慎治君  2番   浜口晴敏君  3番   橋爪省二君  4番   青木仲三郎君  5番   北山 篤君  6番   床田健三君  7番   柳本卓治君  8番   北野禎三君  9番   梶本利一君  10番   壷井美次君  11番   吉田信太郎君  12番   安楽雅男君  13番   小林初江君  14番   佐藤ふみ子君  15番   黒田輝夫君  16番   向井 啓君  17番   藤沢和親君  18番   多賀谷 宏君  19番   山口泰弘君  20番   大西仙太郎君  21番   沢村信義君  22番   小林敏郎君  23番   中井光治君  24番   由本栄作君  25番   鈴木清蔵君  26番   加藤正武君  27番   森下土治君  28番   室屋定三君  29番   吉村達雄君  30番   中西建策君  31番   森川美代君  32番   柳井伝八君  33番   奥野修三君  34番   仲谷誠夫君  35番   美延よし君  36番   加藤 進君  37番   森野光晴君  38番   足高克巳君  39番   木下伸生君  40番   薩摩夘三郎君  41番   徳田賢次君  42番   永井 博君  43番   近藤 正君  44番   関根信次君  45番   辰巳正夫君  46番   岸本太造君  47番   山下博義君  48番   岩田 章君  49番   高橋幸一君  50番   島尾 茂君  51番   佐野繁雄君  52番   浜浦重治君  53番   浜口盛男君  54番   四方棄五郎君  55番   竹村芳春君  56番   岡田明経君  57番   勝田重春君  58番   藤岡信雄君  59番   高野光男君欠 60番   改発 弘君  61番   井上英夫君  62番   山下喜一君  63番   音在又一君  64番   福岡たづ君  65番   小林和美君  66番   松井義明君  67番   安松克己君  68番   山川洋三君  69番   野口末造君  70番   倉川 薫君  71番   中村賢三郎君  72番   吉田辰治君  73番   中石清一君  74番   隅野源治郎君  75番   辻  渡君  76番   長沢利治君  77番   高垣松雄君  78番   中尾安夫君  79番   黒木武好君  80番   村田岩雄君  81番   大神 仁君  82番   粟井岩吉君  83番   坂本 実君  84番   長田義一君  85番   坂井三郎君  86番   佐々木栄一君  87番   大西保三郎君  88番   天野 要君  89番   大丸志朗君  90番   辻 昭二郎君  91番   姫野 浄君  92番   安達喜雄君  93番   上野 弘君  94番   塩田吾一君---------------------------------------◯職務のために出席した事務局職員                市会事務局長    榎村 博                次長        上羽睦義                議事課長      永安茂夫                委員係長      笹倉和忠                主査        竹下昭子                主査        宮崎 晟---------------------------------------◯議場に出席した執行機関及び説明員                市長        大島 靖                助役        石川多賀夫                助役        藤井弘巳                助役        近藤和夫                収入役       長澤 滋                市長室長      大多一雄                総務局長      竹村保治                職員局長      大浦英男                同和対策部長    寺本七良                財政局長      道廣一實                総合計画局長    北田純三郎                経理局長      深澤 修                民生局長      野元隆司                経済局長      稲田芳郎                市場局長      安宅宗吾                環境保健局長    長谷 廣                環境事業局長    遠藤 渉                土木局長      宮北孝男                下水道局長     栗林春日子                都市再開発局長   小寺 稔                公園局長      尾山一郎                建築局長      芝山嘉郎                港湾局長      大西英雄                市立大学事務局長  田万 侃                消防局長      内山 登                交通局長      西尾正也                水道局長      鈴木秀夫                教育長       圓井東一                選挙管理委員会                          松井 弘                事務局長                監査事務局長    森吉琢郎                人事委員会事務局長 庄司修造--------------------------------------- △開議    昭和53年3月6日午前10時37分開議 ○議長(福岡たづ君) これより市会定例会会議を開きます。 本日の会議録署名者を北山篤君、小林初江君のご両君にお願いいたします。 ○議長(福岡たづ君) 日程第1、議案第2号、昭和53年度大阪市一般会計予算ないし日程第46、議案第47号、大阪市交通事業再建計画の一部変更について、一括して議題といたします。 ○議長(福岡たづ君) これより質疑に入ります。 藤沢和親君の質疑を許します。17番藤沢和親君。   (17番藤沢和親君登壇) ◆17番(藤沢和親君) (拍手)私は自由民主党大阪市会議員団を代表いたしまして、ただいまご上程になりました昭和53年度の予算案並びに関連諸案件につきまして、ただいまから大島市長及び関係理事者に質問を行います。 去る1日、大島市長から昭和53年度予算案等について提案のご説明を受けたわけであります。長期の不況とその後の急激な円高傾向等の厳しい国際情勢も加わりまして、景気は依然として盛り上がりを見せず、企業の倒産増加、雇用情勢の悪化など、長引く不況の影響は一段と深刻化しており、何よりもまず不況からの脱出こそが国を挙げての課題であるとのご認識には、私も全く同感でございます。しかしながら、私たちを取り巻くこのような情勢が、非常に厳しいものであるにもかかわらず、市長を初めとして理事者各位には、まことに残念ながら、わが大阪市の現状の認識が、いままでとさほど変わらずにこの予算の編成に携わってこられたのではないかと痛感するものであります。いまや最も革新的であると自負しますわが自由民主党議員団のこの私が考えますのに、大阪市の市長さんを初め理事者の多くは、全く超保守的であります。役人、いや公務員という大きな安全な枠組みの中で安住し、大企業から中小企業まで夜となく昼となくほんとうに必死になって企業を守り、経営を維持するためにがんばっている世間とは全く無関係に、失業の心配もなく、保護された、世に言ういやな言葉ではありますが、親方日の丸族といって言い過ぎではないと考えるものであります。しかしながら、この言葉は、これから私が質問いたします事柄について、ほんとうに真剣なご答弁がいただけますならば、少なくとも私は大阪市行政に携わっている方々に対しましては、今後は使わないことにいたしたいと思います。 そこでまずお尋ねいたします。いまも減り続ける人口、とりわけいま問題になっております構造不況業種の多い大阪、中小企業の町大阪、その中で伸び悩む市税収入、一方、増高を続ける人件費、生活保護費、公害健康被害補償の給付、営々となされてきた都市基盤整備に伴う維持管理費、公債償還費、交通事業への一般会計からの巨額の繰り出し等々、いま申しました事柄は、一つ一つ取り出しても非常に重要な問題であり、各委員会においても、わが党がそれぞれ論議を深めてはまいりますが、私が申したいのは、それぞれの対策、手段はいろいろありましょうが、しかしながら、これらが基本的には本市の経済的地盤をどう引き上げていくのかということと、高額、中堅所得階層が逃げ出したこの大阪に、どういう方法で活力を取り戻していくかという議論と常々並行して論議されなければならないと考えるものであります。それでなくては、このわが大阪市の今後の発展は望めないと憂うるものであります。この点について市長の本予算編成に当たられた基本的態度とかかわって、所信のほどをお尋ねいたします。次に重要なのは、行政のそれぞれの問題の提起とともに、市民にわかりやすく、問題の解決への具体的な方法や手段が、市長さん、助役さん、局長さんのところから示されることであると考えます。本市の場合、賢明な理事者が多数いらっしゃるので、問題の提起は確かにあります。しかしながら、国や府などに責任を転嫁するだけで、市の行政といいますか、市長さんの指導性のある問題解決への具体的な方法や手段が示されていないことがまことに残念であります。大阪市のお手本は、東京都や横浜市ではなく、大阪市そのものであると思います。まして高度成長経済の豊かさの上に乗っかかって、甘い夢を追って府財政を破綻させた全くけしからぬ黒田大阪府知事は、言わずもがなであります。今日行政に強く求められているのは、昨年もわが党から指摘しましたように、行政はいまこそ長い惰性から目覚め、脱却する絶好の機会であります。また、私たちの大阪市を取り巻く種々の問題、すなわち大きくは大阪の経済的、文化的な地盤沈下対策、いまやほとんど極限に達していると申されます本市の財政危機打開対策、人口300万人への具体的なアプローチ、将来を見きわめた都市の再開発、ほんとうに市民にとって人間らしい、しあわせな福祉とは何か、同和対策事業の真剣な見直しなど、また常々言っております、いまの時代にふさわしい市の組織、機構の抜本的見直しの問題、本市職員の真の適正配置や職員数の問題など、各方面でいろんな問題が山積しております。いまこそ口先だけの議論ではなく、大胆に発想を転換して、たとえ試行錯誤でもよいから、一歩一歩各般にわたる問題解決への施策が実行に移されるべきだと考えるものであります。このことが、真に市民の信託にこたえる、私ども議員も含め、大阪市行政関係者の責務だと考えるところであります。市長の所信のほどを承りたいと存じます。 続きまして、財政運営の基本的な認識についてであります。冒頭でも少し触れましたが、本年度予算で市税は2,753億3,700万円、伸び率は前年度と比べ9.9%と見込まれているものの都市計画税法人市民税均等割税率アップ分を除くと、実績では6.6%にすぎないという全く低成長型になっていることであります。そこで、この問題で一番重要なのは、市の財源とは関係なしに、本市行政の運営がまだまだ高度成長型のままで放置されている現状をいかに転換するかであります。すなわち私が考えますのに、地方財政は、制度と運営が車の両輪であります。これまで私どもは、制度のゆがみを掲げて政府や自由民主党本部に強く迫ってきたのであります。もちろんこのことは、今後も一そう私どもも努力はいたしますが、その熱意に比べて、みずからわが大阪市は、はたして自治の名にふさわしい行政運営、すなわち市長がよく言われる各般にわたる行政の真剣な見直しを、今日自信をもって行っていると言い得るでしょうか。政府に、自治体に財源を与えても、ばらまき財政ですぐなくなってしまうと言われるのも当然と言える点が多々あることを強く反省することが必要であります。本市自身に財政上の統治能力、すなわち経営能力がない限り、税財源の、政府からの委譲も、税財政制度の中で自主権の拡大もないということを、いまこそ強く認識すべきであります。この認識がなければ、毎年毎年、1年ごとの財源を国にせびったり、制度の一部手直しを請うたり、あげくのはてには大蔵省と自治省の交渉の成り行きに一喜一憂するというパターンを永久に繰り返し続けることを強くご指摘申し上げておくものであります。 そこで昭和53年度の歳入について二、三お尋ねいたしたいのであります。昭和53年度の税制改正については、公共投資の拡大による不況からの脱出という当面の経済政策の方向に矛盾しない範囲での増収措置の一環として、都市計画税の制限税率の引き上げが行われることとなり、これに伴いまして、本市においても80億円余りの増収が見込まれた上、なお先ほども申し上げましたように、本市の税収入の伸びはきわめて低く、このため一般会計の歳入の中に占める税収入の割合が、52年度の39%から53年度はさらに37.9%に低下しているのであります。そこで現行の都市税制が、大都市の実態を反映していないという構造的な欠陥、あるいはさきにも申しました本市の経済地盤の相対的な低下や近年の人口の動きに見られますような、また最近のまことにきびしい経済情勢の中で、財政立て直しの基本となる歳入、特に市税収入の伸びの確保は容易なことではないと考えるものであります。私が冒頭で申しました基本的な認識を十分ご理解いただきまして、たてまえのご答弁ではなく、市長がこの問題について今後どのような方向で現状を打開し、対処されようとしておられるのか、お答え願いたいと思います。次に、地方交付税でありますが、前年度380億円の18.4%増の450億円を計上されていますが、52年度の実績も当初予算に比べ55億円減の325億円にとどまる見通しであると聞いております。またまた年度末には減収補てん債を上積みする羽目に追い込まれないかと危惧するものであります。市長の地方交付税450億円確保のご決意をお聞かせ願います。次に、一般会計の公債収入についてお尋ねしますが、996億5,300万円に比べて4.4%の増にしかなっていないことであります。昭和53年度の国の予算を見ますと、税収入の全く伸び悩む中で、大量の国債発行によって積極的な公共事業の拡大をはかり、何としても景気の回復の足がかりをつくりたいということで、従来より歯どめとされていた30%ラインを越えて、歳入の32%までも国債に依存する姿になっておるところであります。一方、地方財政も、まことに厳しい状況にありまして、引き続き3兆5,000億円もの巨額な財源不足が見込まれ、このうちの1兆3,500億円は、地方債の増発によって対処することになっていると理解するものであります。以上のような点で、公債収入の伸び率4.4%というのは、いかにも低いように考えるものであります。これは、本市の公債費比率が、近い将来、通常起債制限ラインと言われている20%を突破するかもしれないという危惧から消極的になり、起債収入を押えられたのでしょうか。長期的な見通しに立っての市長のご見解を承りたいと思います。 以上、本市の税財原問題を浮き彫りにしてまいったわけでありますが、そこで高度成長型に依然としてあぐらをかいているものに人件費問題があります。これは職員数や、その職員の適正配置、また行政組織、機構とも当然表裏一体となっているものであります。昭和53年度の人件費総額は、交通、水道の公営企業会計分を除いて、実に一般会計で1,751億7,300万円、特別会計で291億1,900万円、合計2,042億9,200万円にもなり、前年度の8.9%増となるわけであります。なお、この中には給与調整費として、54億5,000万円計上されております。これは53年度のベースアップに当てられる財源と理解するものであります。これとてもお役人さんはけっこうだ、ベースアップの財源を来年度予算にあらかじめ組み込むことができるのだから、やっぱり親方日の丸の考え方だという批判もすでに出ておることを銘記すべきであります。この給与調整費は、前年度の5%相当分82億円に比べて27億5,000万円の減となっており、私、予算書を拝見いたしまして、さすが市長さん、この長引く不況の中、52年中だけでも市内で2,057件もの企業が倒産し、なお、この1月だけでも72件もの企業が倒産し、突然職がなくなるという人々があとをたたない状況や、かねがねわが自由民主党が代表質問で取り上げておりますのを心にとめられ、やっと何としてでも2%は減額するのだとのご意思と理解するものであります。当初予算が組めないので、数字合わせとしての当面の措置だけにとどめるのではなく、何としても人件費の総量を抑制するという姿勢をお示しになったものと理解いたしております。この点について市長のご意思を確認いたします。なお、人件費の計上対象人員は昨年度より156名ふえています。世間では、どこでも減員体制に労使ともども血みどろの努力をしているときに、施設等の増があるためにやむを得ないというのでは、市民は納得いたしかねると考えるものであります。私が見る限り、本市においては、まだまだ血みどろの努力がなされていないと考えます。私が試算してみますと、職員一人当たりの人件費は、共済費等まで含めますと、53年度500万円を超えております。このことを職員一人一人がどこまで認識しているでしょうか。しかも民間企業は、売り上げが給料の源であり、言うなれば、みずからがかせいだと言えるのに対して、役人は、基本的には市民、国民の税金によって給料がまかなわれているのであります。夜間人口が減り続ける中で、分区もあったでしょうが、職員数だけがふえ続けているというのは、どう考えても私は納得できないところであります。もちろん、本市の行政サービスは、昼、夜間人口を対象にしたものであります。しかしながら、少なくとも区役所事務について見ますと、その大半は夜間人口対象行政サービス機関だと考えます。また、それぞれの職場には、職員名簿には載っていても、机もなければ、仕事ば何もしていない職員がかなりいると、見たり聞いたりいたします。これがほんとうであれば、まじめに働いて税金を納めている市民は激怒するでしょうし、真剣に仕事をしようとする職員の意欲をも減退させることになります。たてまえではなしに本音で真剣に議論し、改善に取り組もうではありませんか。本予算でも、先に申し上げました都市計画税の改定増、地下鉄、バス、授業料等の値上げが盛り込まれております。これらも、私が申しております行政の内部の必死の努力がなければ、ほんとうは市民の理解と協力が得られないと確信するものであります。なおまた、昨年もわが党が強くご指摘申しました、本市行政機構にも問題があります。組織だけが巨大化し、縦割りが進み、各局、各部のセクショナリズムが目につくところであります。また、この巨大な組織には、全く相互の連絡、調整機能が働いておらないことも事実であります。例を挙げれば、私の質問時間を、あと数時間もちょうだいしないとだめだと思います。社会、経済情勢の変貌に即応して、行政のあり方、行政組織のあり方も検討し処理するのが、総務局の重要な仕事であろうと考えるものであります。本来なら予算審議と並行して、各局の定数なども議論して、毎年毎年、予算の内容によって大幅に人員の増減が行われても当然だと考えます。確かに52年度、一部の課、係の統廃合や新設がなされました。きつい表現かもしれませんが、実質的には形をとりつくろっただけで、血を流したと言えるようなものがあったでしょうか。総合計画の調整機能についても、一つの提案があります。総合計画局長を助役の兼務にして、各局間の調整権を持たせてはいかがですか。そのためには助役がふえてもけっこうであります。しかしながら、機構、組織を整えても、それを動かすのは、やはり人であります。そのためには適材適所、さらに根本的にはやる気であります。定年まで、あるいは人事異動までの二、三年を何とか波風が立たないようにというのでは、その局の、その区の、その課の士気が上がらないのは当然であります。きびしい環境の中での人事政策の見直しもぜひ必要であろうと思います。また、各区役所が、市長がよくおっしゃる真のコミュニティの基幹施設の役割を果たすためにも、大胆に区長に権限を委譲することも一つの考えだと思います。以上申しました人件費問題、職員数等の問題、機構問題について、市長の明快なるご答弁を求めるところであります。 次に、同和対策事業についてお尋ねいたします。市長は、今後の同和行政は、市会の意見を十分に体してこれを進めてまいりたいと言われております。まさに53年度はその第一歩であろうと考えるものであります。私は、昨年の決算委員会で、今後の同和行政を市民の理解と協力の上に立ってどう進めるかの峡点から、これまでの同和行政の中で幾つかの問題を提起し、善処を強く要請してまいったわけであります。また、決算特別委員会は、51年度決算の認定に当たりまして附帯決議を付したことは、記憶に新しいところであります。そこでお伺いしたいのは、53年度の同和予算の編成に当たって、決算委員会でのいろいろな論議や附帯決議をどう踏まえて臨まれたかということであります。市長の明確なご答弁をお願いいたします。理事者は、おそらく53年度の同和予算については、厳しい財政事情と市会の意向を体しまして、せい一ぱいの努力をし、52年度より11.5%減の273億2,100万円の同和予算を編成し、また同和対策事業用地の先行取得についても、80億円を25%減の60億円にしたと、このように答えられるだろうと思います。確かに一挙にこれまでの施策の方向転換をはかることが非常にむずかしいことは、私も理解できますが、それでは具体的な内容でどのような見直しをされたのか、また、今年度においてされるつもりなのかをお答え願いたい。問題点の一、二を取り上げると、民生局の保育所については、定数の余裕を持ちながら、なお建設されようとするのはなぜなのか、保育料は改定するのかしないのか。保母さんの加配を実際の措置児童数によって見直すつもりがあるのか、ないのか、民生局長からお答え願いたい。また住宅については、なお同和公営住宅を270戸計上されているが、一方で空き家がありながら、改良住宅はともかく同和公営住宅を建設する必要がどうしてあるのか。私は、今後の同和住宅は、たとえ時間はかかろうとも、改良住宅中心で進めるべきだと考えるものであります。また、52年度に同和住宅の家賃を若干改定したが、それでも一般の公営住宅なり、民間のアパートと比べると、あまりにも安いと思います。私は、そのことが市民の同和問題に対する理解と協力を妨げる大きな原因であると考えるものであります。また教育関係についても、推進校関係で本年もなお51億円余りが計上されています。これまで本市は巨額の市税を投じて推進校の整備を進めてきたのでありますが、その結果、学校教育上どのような成果が上がったのか。また、多くの教員を加配し、補充学級を行い、さらに子供会活動として先生が出かけていって学習指導をする。その結果、子供の学力がどれほど向上したのか、教育委員会は十分な分析をした上で53年度の予算を組んでおられるのでしょうか。仄聞するところ、あるところではなお大規模な青少年会館の建設を要求したり、あるいは体育館、プール等の要望をしていると聞いております。これらについては、これまでにつくられた施設の利用状況等もお互いに十分研究した上でとりかかるべきだと考えますが、明確なお答えをお願いいたします。さらにいろいろな個人給付についても、毎年毎年上積みするのではなく、地区住民の自立更生にほんとうに役立つように、同促協と十分協議され、一定の所得を得ている人は除外する等の措置が必要であろうと思います。こうしたことが同和対策事業を推進するためにも、より市民の理解と協力が得られるようになることを十分認識していただきたいと考えるものであります。次に、用地の取得については、未事業化の用地が非常に多い現状から、新たに取得することは、原則として当分見合わすべきではないかと考えますし、すでに取得した用地の有効利用をはかるべきであります。以上の問題につきまして、市長及び関係理事者の明快なるご答弁をお願いいたします。また、昨年末の決算委員会における私の提案、すなわち土地の取得について、市会議決の対象を2万平方メートルから1万平方メートルにするのが妥当ではないかとの問題提起について、経理局長のお考えを重ねてお聞きいたします。私は、今後の同和行政を市民の理解と協力のもとに推進するかぎは、本市の同和行政の姿勢にあると思うのであります。本市の同和行政は、同対審答申の中で言われている、「同和行政の方向としては、地区住民の自発的意思に基づく自主的運動と緊密な調和を保ち、地区の特殊性に即応した総合的な計画性を持った諸施策を積極的に実施しなければならない」という言葉そのままに、地区住民の運動団体といわゆる大衆交渉を行い、理事者は住民の要求をいかに受け入れたらよいかと頭を脳ましてきたんだと思います。しかし、その中で行政は往々にして主体性を失っていたと言っても過言ではないと思います。住民の要望を聞くのは当然であり、悪いことでは決してありません。しかしながら行政には一定のルールがなければならないと考えるものであります。住民の要望を聞くにしても、代表者の人数なり、時間なり、場所なり一定のルールを守るべきであります。これが民主主義の基本であり、市長さんの言う人権の尊重と真の同和対策事業を行う上でも、十分留意せねばならなかったことを、ともに反省したいと思うのであります。市長は今後の同和行政を進めるに当たって、大胆に率直にこのことを理解してもらうまで訴えるべきであると思いますが、市長の明確な所信をお伺いいたします。 次に、住宅対策についてでありますが、わが党がかねがね主張いたしておりました量より質への転換が内容として前進いたしていることを多とするものであります。そこで、なおマスタープランの人口300万人へのアプローチとしての住宅対策の基本計画の策定問題、また福祉と住宅対策とのかかわり合いなどにつきまして、私の提言をも含めまして二、三お尋ねいたします。1990年を目指したマスタープランは、快適な大阪、すなわち働きやすい大阪、住みよい大阪へのなお一そうのいろんな条件整備と並行した住宅施策の裏打ちが基本になると考えるものであります。 この住宅施策には、いわゆる従来のような、ことしは市営住宅を何千戸建設いたしますというような、公的施策だけでなく、公社、公団は言うまでもなく、市内の各民間企業が住宅建設計画を立てる場合、指針ともなるべき大阪市の基本的な考え方を、少なくともマスタープランが示されている現在、計画達成のためにも、この際明確にされることが必要だと考えるものであります。そこで市長はどのようにお考えか、まずお尋ねいたします。さらに大阪市の住宅問題を考えるに当たって、ぜひとも真剣にご検討いただき、大胆に実行に移してもらいたいことがあります。すなわち、私ども議員は24時間市内勤務であります。しかるに市の管理職の方々のうち、一体何人が市内に住んでいるのでしょうか。後ほどご答弁をいただきますが、市外に住んで、地下鉄や京阪の淀屋橋駅と本庁舎などの往復だけで、それ以外、大半は机の前だけといった執務で市の施策が決められたり、行われたりしたのでは、市民の方から見れば全く迷惑であります。人口が減り続ける中で、市の理事者の一体どれほどの人々が市内にリターンして来られたでしょうか。これでは一般の方々に幾ら訴えても迫力なんかありません。少なくとも助役、局長、次長、部長、区長さんといったクラスは、憲法の居住権とか、奥さん、子供のためにといった理由はともかく、これとても大阪市あってのあなた方の職場なんです、天職としての誇りをお持ちなら、奥さん一人ぐらいに対して、ぼくの仕事はこうなんだよと説得できなくてどうするのですか。市が民間マンションでも借り上げるなり、住宅手当を大幅に上積みするなりしてもいいと思います。先ほども人件費についてただしましたが、こんなお金なら市民の皆さんも十分納得していただけると思います。なお、また職員に対する市の共済組合が行っている住宅資金貸し付けにしても、市内の居住者に対しては大胆に条件を改善させてもよいと考えます。一人でも多くの理事者や職員の皆さんが市内に住み、市民とともに生活することによって、今日山積している教育の問題、都市の生活環境の問題など、市の行政の各般の問題を、自分のこととしても考え、行政に生かしていくことができると考えるものであります。この点について、市長及び職員局長に明快かつ前向きのご答弁を求めるものであります。 次に、福祉と住宅対策とのかかわりについてでありますが、昭和30年代の後半から急激に核家族化が進み、その結果、夫婦共動きの家庭などでは、子供は保育所に預けねばならず、育児経験の豊かなお年寄りが同居していないため、若夫婦は知恵熱でも、それ大変とすぐ医者にかけつけます。いま申しましたのは、ほんの一例ですが、結局こうしたことが、保育所を幾らつくっても、まだまだ足りないとか、医療費の増高の一因にもなっていると思います。さらにお年寄りのひとり暮らしが社会問題化している現在、核家族化と比例して、この面での福祉の需要も増大するわけであります。また、老人医療につきましても、慢性的、長期的な疾病が多く、医療ももちろん大切ですが、日常の生活の中での張り合いや生活態様の改善によって、むしろよくなるものが多いと聞いております。お孫さんにとんとん肩をたたいてもらうという日があれば、いやなことや疲れも吹っ飛んでしまうかもしれません。今後急速に老齢化社会へと進む状況の中で、お年寄りの立場に立った、お年寄りに生きがいを与える施策が強く望まれるゆえんであります。そこで先ほど来申し上げてまいりましたように、核家族化がもたらす種々の幣害を除去するという面からも、十分配慮した住宅対策こそ、市民の福祉における最重要課題であると考えます。核家族化に拍車をかけてきたのは、いままでの公営住宅施策にも一因があったかもしれないのであります。3世代同居家族用住宅にもっと目を向け、民間デベロッパーの持てる力も十分活用するとともに、住宅取得施策も洗い直し、本市独自の住宅資金利子補給策とか、思い切って、市民税、固定資産税の減免措置を講ずるなどしてでも、3世代同居家族用住宅の建設、取得のための施策を強く望むものでありますが、市長並びに建築局長のご見解をお伺いいたします。 次に交通問題についてお尋ねいたします。先日の新聞報道にもありましたが、交通事業の赤字のツケがまたまた市民、利用者に回わされてきて、いよいよバス、地下鉄100円化時代に突入するのであります。もちろん交通事業は、一企業として法により独立採算とは言えないまでも、原価計算の上に立った適正な料金を設定する必要があり、そのための値上げであることはよく存じておるところでありますが、問題は交通局内部の体質であります。今回提案されております再建計画の変更案を見ますと、前回、前々回と同様、乗車人員の減少と職員の給与改定により、計測に穴のあいた分を料金の改定と一般会計からの繰り入れの増によって埋め合わせるという内容で、いずれも市民の負担によっているのでありまして、一部事業の見直しがあるものの、企業みずから努力して増収をはかるとか、経費の大幅な縮減をするといった思い切った対応策は、ほとんど織り込まれていないのであります。わが党が強く主張しております経営責任の明確化といった点からしても、企業管理者の怠慢と言わざるを得ないのであります。過去に100万人以上もあった乗客を再びバスに引き戻す具体的な施策が相変わらず欠如しており、専用レーン、優先レーンの拡大やライドアンドライド方式とか、いろいろおっしゃってはいるが、現実の問題として乗客数は年々減少しているのであります。また特に申し上げたいのは、府からの財政援助であります。利用者のほとんどが、市民も含めて大阪府民であります。当然、府に対しても相当の負担をしてもらうべきであり、理事者は府に対してどのような取り組みをされ、またその見通しはどうであるのか、黒田知事はどのように言っているのか、府民でもある大阪市民の代表としてお尋ねいたしたいのであります。そのほか付帯事業等による増収も検討されておるのでしょうか。最近の国鉄の例もあり、もっと真剣に経営の建て直しに取り組んでいただきたい。バス、地下鉄の従業員を初め、交通局の職員の日ごろの勤務状態を見ていると、これが1,000億円以上もの赤字を抱え、倒産寸前の企業の職員の勤務ぶりかと疑いたくなるような状況であります。民間企業で申せば、会社更生法を適用され、再建に必死に努力すべきところであります。少なくとも交通局の職員にはそのような危機感が見受けられません。職員一人一人は、こうした財政危機の現実を十分に認識しているのでありましょうか。また、職員が認識するため、どのような努力をしておられるのでしょうか。市民は、ほかにもやってもらいたい事業、たとえば学校、住宅、文化施設の建設やほんとうに恵まれない人々への手厚い施策、医療保健の充実などをがまんしてまで、市民の足を守り、市民に愛される交通事業に立ち戻ってもらいたいという切実な願いから、重要な税金を270億円余りも交通事業に割いているのであります。この市民の切実な願いを、いま一度十分考えていただき、交通局一丸となって真剣に再建に取り組んでいただきたいのであります。また、大都市においては、もはやバス事業単独で採算ベースに乗せることはむずかしいのではないかと思うのであります。大都市交通の体系として目指すところは、地下鉄を根幹にバスをその捕助機関として配置していく方向にあるのは、衆目の一致するところであります。この際、バス、地下鉄のそれぞれの収支ということではなく、料金体系も合めた事業の抜本的な見直しをはかり、国に対しても、その考え方に立っての適正な財政援助を要望していかなければ、交通事業の真の立て直しは不可能ではないかと思うのであります。市長及び交通局長のご見解をお伺いいたします。 次に、国民健康保険事業についてお尋ねいたします。一般会計からの持ち出しは、52年度より10億円増の45億円にもなっていますが、累積赤字は51年度末で50億円、52年度末ではさらに悪化することが憂慮される状態であります。一方、保険料は、医療費の増高や診療報酬の改定もあって、平均保険料が17.5%もアップする予算案となっており、このような毎年の保険料の増高は、被保険者にとっては、まことに耐えがたいものであります。この原因は、本市の特別措置である世帯主に対する8割給付、保険料の収入割合が低いことなどもありますが、とりわけ老人医療費の増高が大きいと考えるのであります。このような現状を考えますと、何としても現在の国民健康保険制度の抜本的な見直しを急がなければならないと考えるのであります。そこで私は、この制度の抜本的な改善策としては、二つの施策が必要であろうと考えるのであります。第1は、老人医療については、福祉施策として位置づけ、別立てとすること、いま一つは、保険料及び保険給付の地域、あるいは種類による格差の是正、すなわち国民健康保険事業を国全体の医療保険体系の中で処理するのが適当であろうと思うのであります。このような抜本的な制度の見直しなしでは、市民に歓迎される保険制度にはならないと思いますが、この点について市長及び関係理事者のご見解並びに見通しも合わせてお答えいただきたいのであります。なお、これに関連いたしまして、老人医療無料化制度に対する大阪府の措置について、本市の考え方をお尋ねしたいと思います。府においては、現在65歳から69歳までの老人には、所得が1,000万円未満の方について、大阪市に対しては差別扱いをしながら、府下の市町村に対する補助制度として、医療の無料化を実施しており、本市を初め府下市町村もこれに準拠しているところであります。この制度により、対象者は非常な恩恵を受けているのでありますが、今回、黒田知事は市町村に対して突然何の相談もなしに、53年10月より所得制限を250万円に切り下げると発表したのであります。このように、老人福祉に対する黒田知事の定見のなさといいますか、場当たり主義に、私は深い憤りを覚えるものであります。老人医療の無料化は、府に財源があれば実施し、なければ突然取りやめるといった性格のものでは決してないはずのものであると信ずるものであります。今回の黒田知事の措置は、私はまことに言語同断であると考えますが、これについて市長はどう考えられるのか。また、本市としてはどう対処していくおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。 以上、問題提起とあわせて、政策をただしたわけでございますが、冒頭にも申し上げましたように、政策には、大胆に実行に移す手段、方法がなければならないと考えます。市長さん、非常に厳しい状況の中ではございますが、いまの苦労は必ず報われるときが来ることを信じ、われわれとともにあらん限りの努力を傾けられ、必ずや後世に名を残されるであろう名市長として、率直に、明快に、勇気あるご答弁をお願いいたします。ご答弁の内容によりましては、再度登壇、質問させていただくことをお許しいただきまして、一応私の質問を終わります。長時間のご清聴に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(福岡たづ君) 理事者の答弁を許します。 大島市長。   (市長大島靖君登壇) ◎市長(大島靖君) 藤沢議員のご質問にお答え申し上げます。 まず53年度当初予算案編成の基本姿勢についてのお尋ねでございますが、これは同時に大阪の町づくりの基本姿勢にも通ずる問題でございます。私ども、基本的にこれは申すまでもないことではございますけれども、経済の発展と民生の安定、この両者が相並行し、バランスをとりながら進められてまいることが一番大切なことではございますけれども、今回、私ども予算案を編成するに当たりまして、特に当面の経済不況、景気の回復、不況からの脱出については、私どもの最大の課題と考え、当面、公共事業の拡大を中心として、この不況からの脱出をはかってまいりたい、そういう意味合いで特に大阪の経済の発展、また景気の回復に重点を注いだつもりでございます。ただ、ただいまご指摘のございましたように、しからば景気が回復すれば大阪の経済はそれでいいのかという問題になりますと、さらにその後のきわめて重要な問題がございます。ことに大阪地方は、構造的不況業種を多く抱えておりまして、そうした意味合いで、今後の大阪の経済をいかに構造的に再編成、転換してまいるべきか、また今後の国際経済、世界経済の分業の中で、今後の日本の中小企業、大阪の中小企業がいかにあるべきか、あるいは今後の日本が全世界に対してしなければならない貢献の、大阪が窓口として果たす役割はいかがであるか。そうした今後の大きな問題を抱えながらも、私どもは当面、現在の不況からの脱出、景気の回復に最重点を置きながら、同時にいま申しましたような、今後来たるべき問題に備えての--大阪市の重要な役割に備えて、都市の基盤の整備を営々として怠りなく続けてまいりたいと思うのであります。そうした努力の結果、私どもは人口の問題--最近の情勢をいろいろ考えてみますと、一たん大阪市内から流出していきました人口が、だんだん大阪市内に返ってくるのではないかと思われる節が多いのであります。また人口の還流、あるいは高額所得者、中堅所得者の還流という問題も、私どもが、そうした景気の回復、経済の発展、同時にまた民生の安定と申しますか、住みよい大阪をつくってまいります努力の結果、そうしたことを期待してまいりたいと思います。要するに、活力に満ちた生きがいのある大阪の町をつくってまいりますことが肝要ではないか、これが私どもの町づくりの基本姿勢であり、また予算編成の基本姿勢と申せると思うのであります。さらに藤沢議員ご指摘のように、市民にわかりやすい行政--都市行政というものは、決して議論ではない、実行である、間違ってもいい、試行錯誤でいいからまず実行である。私もこの点はほんとうに同感でございまして、むずかしい理論も私はわかりませんけれども、しかし、とにかく市民の幸せにつながる施策というものを黙って着々とやってまいりますことが一番大切だと思うのであります。特に、私は最近痛感いたしましたことは、南港がだんだんできてまいります。これを市民のかなり各方面の方々にバスで行ってもらって見学をしてもらったのでありますが、非常に驚嘆をしておられる印象を聞いたのが多いのでございます。また、下水の問題では、弁天幹線の地下の大きな下水工事を見学していただいたのであります。これも、こんなに大きな地下の下水工事というものは、どんなに大量のお金が注がれるものかということに、あらためて非常な印象をお受けになったようであります。大阪市の地下にきわめて膨大なお金が注がれておるということ、下水にいたしましても、地下鉄にいたしましても、大阪市の地下に、明治、大正、昭和とかけて非常に巨大なお金が注がれている。まことに土台がしっかりした町であるということを痛感をいたしておるのでございますが、やはり地下をごらんいただくということは、なかなか機会のないことでございますので、いま藤沢議員ご指摘のような、市民にわかりやすい行政という意味合いにおいて、ことしは特に大阪市の各種の都市施設の見学会でありますとか、あるいは地下施設の見学会というものを、ひとつ特にやって、市民のご理解を得てまいるようにいたしたいと存じております。 次に財政問題についてのお尋ねでございますが、市税収入の伸び悩みの問題。現在、大阪市の市税収入が全国の市町村税の収入全体の中に占める割合というものがだんだん低下してまいっております。昭和30年度では全国の5.8%でございました。40年度におきましては6.1%でございましたものが、現在は4.8%にまで低下をいたしてまいっております。これは、現行の市町村税全体が、昭和25年のシャウプ税制改正以来、住民税、国定資産税というものを中心にいたしておりますので、税制としてはきわめて安定性に富んではおりますけれども、経済の変転にはなかなか応じにくい、したがって経済が進むにつれまして取り残されてまいるという点がございます。したがって、今日における大阪市の財政の硬直化を打開するためには、市税収入をさらに大幅に拡充、強化をいたすということは、喫緊の課題であることは、藤沢議員ご指摘のとおりでございます。私どももこうした方向で、市会の皆様方とご一緒になって、過去相当長期にわたって努力を続けてまいりまして、政府の税制調査会におきましても、地方制度調査会におきましても、答申、報告として取り上げてもらってきており、また現実にも逐次改正の実を上げてまいっております。しかし抜本的な是正にはなおほど遠いと申さなければならないと思います。昨年の10月に政府の税制調査会におきまして、国税、地方税を通ずる中期税制の答申がございましたが、この中でも租税負担のあり方、あるいは国、地方を通ずる税源の配分の見直しが重要な問題として取り上げられておるわけでございますが、特に税源の配分につきましては、現在、国税、都道府県税、市町村税--国税と地方税を合わせて国民からいただきます税収のうち、7割は国税でちょうだいをいたしており、3割が地方税でございますが、この税金が今度は支出として使われる面を見ますと、国が3割、地方が7割でございます。税制と行政実態が逆転をいたしておるわけでございまして、私どもは、こうした逆転の税制というものを本来の実質的な実態に合うように、そうした方向で改正の努力をいたしてまいらなければならないと思うのであります。しかし、こうした交付税制度を含む抜本的、理想的な地方税制の改正というものを目標としながらも、現実的な私どもの課題といたしましては、やはり法人所得課税のさらに一そうの拡充でございますとか、大都市の事務配分の特例に伴う税制上の特例措置をしてもらうとか、そういう努力をいたしてまいらなければならないと思うのでありますけれども、この点につきましては、私どもも十分懸命の努力はいたしますが、特に市会の皆様方のご尽力を賜わりますよう、この機会にあらためてお願いを申し上げたいと思う次第であります。 地方交付税の問題でございますが、ご承知のように地方交付税は、財源の多い団体もございますし、少ない市町村もございます。財源の均衡化並びに地方行政全体として一定の水準は確保しなければならない、こういう目的をもって、所得税と法人税と酒税--国税3税の徴収の32%を地方交付税として交付されるものであります。特に50年度以降におきましては、本来のこうした地方交付税制度に加えまして、地方財源の不況対策として、さらに地方交付税が増額されてまいっておりまして、53年度では総額7兆円に及ぶ巨額に達しておるわけでございます。今回、私どもは450億円の交付税の歳入を計上いたしたのでございますが、昨年度の当初予算の計上額と対比をいたしますと、約18%の増加でございますけれども、52年度の実際の見込み額と比べますと38%ぐらいの相当大幅な伸びになるわけでございまして、ご指摘のとおり、積極計上と申すべきでございましょう。ただここで特に申し上げておきたいと思いますのは、50年度以降におきまして、地方財源の不足対策として交付税が増額されまして、本来の交付税と、減収補てん債、財源対策債、起債と一体的に運用されております。したがって、52年度の実績もこれらと総合勘案いたしました実収と比べますと、大体26%程度であろうかと思います。53年度の全国の交付税の枠は7兆400億円でありまして、23%の増額。これよりももちろん上回ってはおりますけれども、ほぼ見合ったような見込みには相なっておるわけでございますが、ただ政府から地方交付税を交付される算定に当たりまして、最近こういういう傾向がございます。これは、大阪市のような都市は相当行政水準が全国的に対比いたしますと進んでおりますから、したがって大阪市のようなところは少ししんぼうしてほしい、もっとおくれておるところを進めなければいけないからと、行政水準を平準化するという要請でもって、大阪市あたりの大都市の交付税が押えられる傾向がございます。これは本来的な制度でございますが、常住人口を基礎といたして算定いたします関係もございまして、大阪市のように常住人口に対比いたしまして、通勤人口がきわめて大きいというような特殊性がなかなか考慮されにくいといった問題がございます。したがって、私どもは今後こうした問題について、特に政府の考慮を望んでまいりたいと思います。大都市税収入が特に伸び悩んでおります点、昼間の流入人口の問題の特殊性、あるいは地下鉄、バス--都市交通事業への繰り出し金の問題、また各種事業を公債で積極的に実施してまいりました公債償還費等の問題、こうした点を訴えて53年度の交付税の確保に努力をいたしたいと思うのでありますが、これまたさきに申しました税制改正の問題と同じく、ひとつ市会の皆様方にぜひとも絶大のご協力をお願いを申し上げたいと思うのであります。もちろん、私どももこれは歳入として予算に計上いたしておりますので、最大の努力をいたしますが、どうかひとつ市会の皆様方にも、この点、財源対策債とあわせて、ひとつ確保に当たりまして政府方面へのご努力をお願いを申し上げたいと思うのであります。 次に公債の問題でございますが、さきに申しましたように、景気回復を中心とする公共事業の拡大に伴います財源措置といたしまして、国庫支出金はもとよりのことでございますけれども、財源対策債その他起債に相当大幅な財源を期待いたしたのでございます。しかし、公債収入の予算額としては、ただいま藤沢議員ご指摘のように、前年度に比べますと4.4%増にとどまっておりますのは、これは一に最近、市会の皆様方のご努力によりまして、大阪市におきましては、都市施設が非常に進んでまいりまして、それが逐次完成をいたしてまいっております。ごみの焼却場その他でございますが、そうした関係で前年度に比べて伸び率は比較的低くなっておるのでございますが、しかし一方、昨年の暮れの大阪市全体の起債の現在高、これは1兆3,500億円に及んでおります。この中で一般会計の現債高は4,900億円、約5,000億円の巨額でございまして、公債の元利償還金も年々増大をいたしておるのであります。53年度の全国的な地方財政計画と対比いたしましても、歳入の中に占める公債収入の割合は、大阪市は13.7%でございますが、全国の地方財政計画におきましては11.7%、これは大阪市が上回っております。また歳出の中に占める公債償還費の割合は9.2%でございまして、全国的な地方財政計画の予想は6.5%でございまして、これまた上回っておるのでございます。また、いまご指摘の公債費比率、これは一つの指標になるわけでございますが、51年度は14.6%、52年度15.4%、53年度は16.0%と逐次ふえてまいっておりますし、これは昭和38年度あたりから比べますと3倍ぐらいの伸びでございまして、全国の大都市と比べても相当大きな額でございます。したがって、大阪市の起債というものも相当大幅でございます。しかし、都市行政というものは、だからといって、ちぢこまっておってはならないと思うのでありまして、私ども、今日の大阪の町を思いますにつけても、先輩の皆様方が勇断、決断をもって、積極的に都市施設の整備を進めてきていただいた、それを起債収入によって積極的に進めてきていただいた成果が、今日、私どもの目にとまっておるわけでございまして、そうした意味合いにおきまして、後代の大阪市、将来の大阪を考えますならば、決して消極に堕することなく、積極的に進めてまいりたい、この点は藤沢議員のご指摘のとおりであろうかと思います。同時にあまり公債の元利償還の負担が大きくなってもあれでございます。この辺のバランスを十分考えてまいらなければならないと思います。 次に、人事政策についてのお尋ねでございます。この点はお説のとおりでございまして、現在、不況の中で民間企業が必死の努力をいたしております企業体質の改善の問題、これは何も民間企業のみの問題ではなく、官公とも、もちろん必要な体質改善の問題の一環でございまして、私どもは人件費総額の縮小の問題--これは一方において大阪市のように都市施設がだんだんできてまいる、下水もできてまいる、ごみの焼却場もできてまいるということになりますと、必然的に経常費、人件費、物件費がふえざるを得ないという点はございますけれども、そういう中におきましても、人件費総額としては、できるだけ抑制の努力をして、体質を改善してまいりますことは、これは現下の財政硬直化の現況からいたしましても必要であろうかと思いますし、同時にご指摘の行政組織の問題、あるいは定数の問題も、これまた同じく体質の問題でございまして、私ども今後とも機動的な弾力的な組織の検討をさらに進めてまいりたいと思います。特にお話のございました区長への権限をもっと大幅に拡大してはどうかというご意見がございましたが、私も最近、そういう方向でもっと区政というものを、大阪市政全体の中で、淀屋橋の本庁の仕事と出先機関--区役所だとか、あるいは保健所もございますでしょう、いろいろな出先機関との関連の問題、この点が非常に大きな問題で、どちらかと申しますと、藤沢議員ご指摘のような方向、すなわち区長の権限をもっとふやしていくという方向で検討すべきではないかという感じがいたしておりますが、こうした点についても、こうした問題も含めてひとつ研究をさせていただきたいと存じます。 次に、同和行政についてのご意見、ご質問でございます。同和行政の重要性にかんがみまして、私どもも過去相当長期にわたって、環境の改善でございますとか、施設の整備を中心に鋭意努力をいたしてまいりまして、相当の成果を上げてまいったと思いますが、しかし、現在の厳しい財政事情のもとでは、なかなかこれまでのような急ピッチの事業実施は、きわめて困難な状況でございます。さらにまた過般来、市会におきましても、同和行政についてしばしばご指摘、ご批判、ご意見がございます。特に過般の市会におきまして、昭和51年度決算の認定に際しまして、附帯決議を付して採択されましたように、同和行政各般にわたって、これまでの政策を見直すとともに、市民の理解と協力を得てやってまいる必要があるという附帯決議のご採択がございました。私どもも、もちろん--市会のご意向でございますが、その市会のご意向に沿って措置をいたしてまいりたいと思う次第であります。全体の予算については、過般の本会議におきまして、私からご説明申し上げたのでございますが、同時に各局の具体的な行政においても、市会のご意向に沿ってまいるような努力を現在鋭意いたしておるところでございますが、具体的な行政努力につきまして、民生局、教育委員会等からご説明、ご報告をいたしたいと存じます。それから用地の問題。同和関係の用地取得の問題につきましても、決算市会においてしばしばご指摘を受け、ご意見を賜わったところでございまして、私どももそうしたご意向に沿いまして、とりあえず現在手持ちの用地を有効に活用してまいるということを、ひとつ基本としてまいりたいと思うのであります。もちろん、ケース・バイ・ケースで具体的に検討が必要ではございましょうけれども、とにかく現在、手持ちの用地の有効活用をはかるということ、これを第一義にいたしまして--緊急を要するものについては、必要最小限度やむを得ないかもしれませんけれども、手持ちの用地の有効活用ということを、ひとつ基本としてまいるようにいたしたいと存じます。さらに、同和行政に関連して、行政の主体性の確保についてのご指摘でございました。これは、藤沢議員ご指摘のように、行政としてはもう当然のことでございまして、市民の意見を聞くということは、必要なことではございますけれども、そこにはおのずから一定のルールというものがある、また、それについての行政の判断というものは、あくまで主体性を持ってこれを行わなくてはならない、これはもうご指摘のとおりのことでございまして、今後とも私どもひとつさらに心を新たにして、そういう点について行政の主体性確保について十分努力をいたしてまいりたい。市役所各局通じて、この努力をいたすようにいたしたいと考えております。 次にマスタープラン。人口の問題に関連いたしまして、住宅政策についてのお尋ね、ご意見でございます。マスタープランの中にはいろいろな要素がございますが、その中で人口の問題というのは、一つの大きな基本でございます。将来の人口がどうなっていくか、またいかにあるべきかということに関連いたしまして、大阪市の総合的な住宅政策が必要でございます。そうした意味合いの藤沢議員ご指摘のような、基本的な大阪市の住宅政策について、昨年10月、住宅審議会に今後の大阪市の住宅政策が基本的にいかにあるべきかという諮問をいたしまして、目下鋭意ご検討を願っておるところでございます。この点につきましては、ご指摘のように単に大阪市が公営住宅を何戸建てる、公社住宅を何戸建てるということではなしに、住宅公団はもちろんのこと、民間建設の住宅全般を含めていかにあるべきかという総合計画でなくてはならないというご意見、私もそのとおりだと思います。ことに大阪市のような場合は、民間住宅建設が公的住宅に比較して、きわめて多い状況でございますので、これを抜いて大阪市の住宅政策を論ずることはできないと思うわけでありまして、ひとつご指摘のように総合的な住宅政策を検討してまいりたいと思いますし、それから現在の住宅問題は、量の問題ももちろんでございますけれども、むしろ量より質と申しますか、いかなる住宅をということが大きな問題であろうかと思います。そうした住宅政策の質的な問題、あるいはそうした市内に住宅を建てて、どんどん市内に人口が還流されるような環境の問題--住みよい大阪をいかにしてつくるかという問題も含めての同和住宅政策というものを、ひとつ早急に策定いたして、藤沢議員のご期待にこたえるようにいたしたいと思いますし、また、いろいろなご意見も承りながら政策をつくってまいるようにいたしたいと存じます。 なおこれに関連して、職員の市内居住問題、これはまことにごもっともでございまして、一般的に申しまして、大阪市の職員が市内に居住しておることは、もちろん望ましいことではございますが、ご承知のような戦後の住宅事情によってこういうことになっておりますが、しかし、さきに申しましたように、最近逐次市内に人口が還流してまいるのではないかと思われるような徴候が出てまいっております。私は特に会社の社員、従業員、職員の通勤のロスの問題というものが、生産性向上の観点から非常に大きな要素をなすものであるという議論が、最近きわめて盛んでございます。そうした意味合いにおける職住接近と申しますか、そういう観点からの住宅政策、そうした意味合いで、ただいまもご提案のございましたように、そうした一般の民間会社について、そういうことを考えるならば、同時に市役所という一つの大きな企業体についても当然考えてもしかるべきではないか、生産性の向上という観点はちょっとおかしいかもしれませんけれども、同趣旨の観点からひとつ--これは建築局と職員局の間になりますか、あるいはもっと広くなりますか、ひとつ共同で研究をさせてみたいと存じます。 それから3世代同居家族用の住宅、要するにおじいさんからお孫さんまで、3世代が一緒にという、これも、まことにコミュニティ形成の観点から望ましいことでございまして、ひとつ十分研究させていただきたいのであります。これもいま申したような住宅政策の量より質への一環をなすものでありまして、もちろん金融の問題、税制の問題、いろいろ関連するところが多いと思いますが、ひとつさらに研究をいたさせたいと存じます。 最後に交通事業についてのお尋ねでございますが、私どもも今回料金改定をお願いを申し上げるに当たりまして、私も説明会に出席をいたしましたが、市民の皆様方の間では、そういう経営状態で料金改定もやむを得ないかもしれないけれども、しかし値上げをしていって、将来一体どうなるのかという、将来の大阪市のバス、地下鉄の見通しについてのご懸念、あるいはご質問がきわめて多かったのでありまして、私どももこの点について、料金改定をお願い申し上げる以上、大阪市の交通事業の地下鉄、バスの将来についてやはり確固たる見通しと、またその見通し、目標に対する十分な努力というものをしてまいらなければならない、これが私は料金改定をお願いするに当たっての一番基本的に大切な点ではないかと思うのでありまして、この点はただいま藤沢議員ご指摘のとおりでございます。私どもも単に赤字を解消するということであるならば、たとえば赤字路線をやめていくとか、そういうことも一法かもしれませんけれども、しかし市民の足を確保し、通勤の足を確保するという公営交通事業の基本的な使命にかんがみまして、私どもはどうしてもバスと地下鉄と新種交通機関と市内の鉄軌道--国鉄とか、私鉄、そうしたものとあわせて、あるいはハイヤー、タクシーも入るかもしれませんけれども、こういう公的交通機関でもって市民の皆様方が、大体市内の行きたいとお思いになるところへ手軽にかつ快適に、かつスピードをもって行けるということが、私どもの公的交通事業の終局目標でございます。これに到達いたさんとするのが、ただいま鋭意努力をいたしておりますライド・アンド・ライド計画であり、また今回の当初予算案におきましても、その実行の着手にかかりたいと存じておるのであります。特に、私はバスの乗客を何とかしてふやしていくということが大切なことではないかと思うのであります。私は、単に交通事業の経営の問題だけで申しますと、地下鉄そのものについては、長い将来というものを考えてみますと、なかなか有望な企業であろうかと思いますが、一方バスのほうは、これは現状ではとうてい成り立つ企業ではごいません。でありますから、これを何とかしてまいりますためには、どうしてもお客さんをふやしてまいらなければならないのでありますが、現在のお客さんは、わずかに50万人でございますけれども、昭和39年におきましては、大体120万のお客さんに乗っていただいておったのであります。私は、ここまでとは申しませんけれども、どうしてもバスのお客さんを一人でも多くしていく、それはどういうことかと申しますと、マイカーの利用者の方々にバスに乗ってもらうということでありますが、しかし、現在のバスに乗り移ってくれと申しましても、現在のマイカーの方がよっぽど快適であり、便利でございますので、なかなかむずかしい。したがって、いま申しますように、公的交通機関というものを、もっとマイカーに負けないように便利に行け、かつ快適に行けるという状態を何とかして一日も早く実現していき、そうした見通しの中で、マイカー利用者の諸君にひとつ協力をお願いして、総合的に大阪市の交通体系というものを確立してまいるようにいたしたと思うのであります。経営の問題につきしては、国の財政援助も必要でございますが、ご指摘のように、特に大阪府の財政援助というものが今日の状況ではとても援助と言えるというようなものではないと思うのであります。国の方の財政援助については、まだまだお願いしたい点はございますけれども、過去十年余りの間にやはり相当な改善をはかってきてもらっておる。53年度におきましても、十分ではございませんけれども、改善の実が上がりつつあるわけでございます。ところが大阪府の援助については、もともと根っこが、まあ言うに足らぬと言ったら悪いかもしれませんけれども、はなはだ不満足な--根っこそのものが不十分でございますし、その後一向に進歩、発展というものがないわけであります。これはひとつぜひとも努力をいたしますけれども、申し上げてもなかなか言うことを聞いてくれないのでありまして、ただいま大阪府会の皆様方にもいろいろご尽力を願っておるわけでございますが、どうかひとつ市会と相協力して、ひとつ努力をいたしてまいりたいと思うのであります。交通事業の経営努力につきましては、交通局長からお答え申し上げたいと存じます。 最後に保険の問題がございましたが、国民健康保険事業、これは市民の健康と医療についてのきわめて重要な事業でございますが、ご指摘のように、財政状況はきわめて窮迫をいたしております。ただ、これは医療保険共通の問題がございまして、ご提案のように--ご指摘のように抜本的な医療保険制度の改正というものは、どうしてもお願いし、その中で国保の問題も処理してまいらざるを得ないと思うのでありますが、特に老人医療制度の問題、これにつきましては、保険の問題と老人医療という公費負担制度というものが、一緒の形に相なっております。こうした点についていかにあるべきかということで、厚生省におきましても、現在老人保険医療制度準備室というものを設置いたしまして、大体54年度を目標にいたしまして、両者を別建ての方向でもっていけないものかということを鋭意ご検討中と承っております。今後とも厚生省とも十分連絡をとりまして、ご指摘のような国保事業の抜本的な改正を、早期実現の運びに持っていくようにいたしたと存じます。なお、老人医療無料化制度についての今回の府の措置--黒田知事の考え方についての問題でございますが、これは実は、私ども大阪市の53年度当初予算案を編成いたしまして、もう数字も締め切ったあとに、黒田知事さんのほうから副知事を通じて打ち切りにしたい、後退にしたいというお話でございまして、実は私もびっくりいたしたのであります。ほんとうにそうなのか、もう一度聞き直すように民生局に言ったのでありますけれども、聞き直しますと、やはりほんとうにそういうふうにおやりになるということで、私もびっくりし……。まあ10月からの実施ということでございますので、これはひとつあらためて、また黒田知事さんの真意を承りたいと思いますし、また当然大阪府会でもいろいろご論議に相なることだと思いますし、大阪市会においても、本会議におきましてもいろいろご議論も賜わるだろうと思いますので、ひとつ慎重に研究をいたしてまいりたいと思います。 ○議長(福岡たづ君) 寺本同和対策部長。   (同和対策部長寺本七良君登壇) ◎同和対策部長(寺本七良君) お答え申し上げます。まず同和行政に関します見通しの問題でございますが、同和関係予算につきましては、主として建設関係の予算の減額を行ったのでありますが、これは現下の財政事情のもとで、従来のような急ピッチで事業が進められないことによるものでありますが、事業の必要性、緊急度を見きわめますと同時に、その施設等の内容につきましても、その効果、運営上の問題を考えながら、できるだけ効率的、実質的なものにしていくように配慮いたしました。また住民福祉関係につきましても、市会でのご意見を踏まえながら、その施策の運営につきまして、きめ細かく配慮し、真に自立更生意欲の高揚に役立つよう実施していく所存でございます。 次にご指摘の個人給付の点につきましては、ご質問の趣旨も勘案し、同和対策部が中心になりまして、関係部局とも調整をはかり、市同和事業促進協議会とも十分協議しながら、地区住民の自立更生に真に役立つ内容のものに検討いたしてまいりたいと存じます。 ○議長(福岡たづ君) 野元民生局長。   (民生局長野元隆司君登壇) ◎民生局長(野元隆司君) 民生局関係のご質疑にお答え申し上げたいと存じます。 同和保育所の建設についてでございますが、地区内の就学前児童の皆保育を目指す必要がありますため、年齢別に児童数の増減があっても、増に合わせて各年齢ごとに建設計画を立てなければならないこと、さらには特別措置法に制限があるため、ある程度将来の展望を踏まえて建設せざるを得ない関係から現在のような開きになったわけでございますが、同和保育所の建設につきましては、その建設計画もかなりの進捗を見たわけでございます。今後は地域の就学前児童数の動向を十分把握いたしまして、市民の理解と協力を得ながら慎重に対処してまいりたい、かように存じます。 次に、保母の配置につきましては、一般配置基準とは別に同和配置基準を設け、さらに障害児保育等に取り組むなどのために、一定の加配をいたしておるのが実情でございます。今後は、さきの決算市会での藤沢議員のご指摘もございましたご趣旨を十分踏まえまして対処してまいりたいと存じます。なお保育料につきましては、本市同和対策審議会答申のもとに、昭和45年に同和保育料を設定して同和保育を推進してきたところでございます。その間、児童一人当たりに要する措置費は年々改善され、市費負担も増高してまいりました。そこで一般保育料については、数次にわたりまして回答をしてまいったわけでございますが、同和保育料につきましても、今日まで据え置いてまいっておるわけでございますが、今日の財政事情の厳しいおりからでもございます。市会のご趣旨を十分踏まえまして検討してまいりたいと存じます。 ○議長(福岡たづ君) 芝山建築局長。   (建築局長芝山嘉郎君登壇) ◎建築局長(芝山嘉郎君) 建築局関係のご質問にお答えいたします。 まず同和対策事業にかかる住宅施策についてのご質問でございますが、同和地区における住宅対策といたしましては、いままで公営住宅と改良住宅をあわせ対処いたしてきたところでございますが、同和地区の劣悪な住環境を整備、改善するには、改良事業を中心として実施すべきであるということは、議員のご指摘のとおりでございます。したがいまして、昭和53年度におきましても、改良事業に重点を置きたいと考えているところでございまして、今後とも改良事業を中心とした住環境の整備、改善をはかってまいりたいと考えております。また、同和向け住宅の家賃につきましては、ご承知のように、昭和52年度におきましてもご趣旨に沿うよう努力してまいったところでございますが、今後とも同和対策事業につきましては、ご指摘のご趣旨を踏まえして、市民の理解と協力を得られるよう努力してまいりたいと考えております。 次に、3世代同居家族用住宅建設の問題についてでございます。先ほど市長からお答えをいたしたところでございますが、建築局といたしましては、公営住宅におきましても、ご指摘の3世代用住宅として、昭和47年度より親子ペアー住宅の建設を実施いたしてまいったところでございます。これは若夫婦用住宅とお年寄り夫婦用住宅をバルコニーで連絡できるようにしたものでございますが、その構造上の問題や、また家賃が高くなるということもございまして、必ずしも十分に活用されているとは言えない面もございます。今後はその活用の方策を考えていきますとともに、公営住宅だけでなしに、たとえば公社住宅におきましても、53年度からは間取りについて画一的なものでなく、家族構成に応じて数種類の中から選択できる、いわゆる何と申しますか、セミオーダー方式と申しますかを取り入れたいと考えておりますので、その実情を把握しながら今後の課題として研究してまいりたいと考えております。 ○議長(福岡たづ君) 圓井教育長。   (教育長圓井東一君登壇) ◎教育長(圓井東一君) 同和推進校の整備に伴って、学校教育の成果はどうか、また子供たちの学力はどれだけ向上したか、さらには大規模な青少年会館の建設の問題についてのお尋ねでございました。 同和教育基本方針にもありますように、部落差別の解消というのは、根本において教育の力に負うところは大きいと、私もそう考えております。同和地区の子供たちの実態というものを踏まえながら、これまで積極的な教育条件の整備をしてきたのでございますけれども、その成果として、たとえば同和地区の児童、生徒の長欠、不就学というのが、相当大幅に減っております。例を挙げますならば、これは、ある同和地区を校下に持つ中学校の例でございますが、昭和40年当時、その学校の生徒の中で、同和地区の生徒の長欠率は10.7%でございましたが、同和地区以外の生徒は1.34%でございますので、約10倍近くの差がございました。現在、昭和52年度で調べますと、これは全市平均でございますが、長欠は小学校で0.44%、中学校で1%というふうに、全体三十四万余の児童、生徒の中で、非常に少なくなっているというのが実態でございます。また不就学につきましても、小中学校合わせまして、三十四万人余の児童、生徒の中で、24名というのが昨年の調査でございます。それぞれ理由、原因がございましょうが、相当な成果であると、私は考えます。また、高校進学率の面で取り上げてみますと、昭和43年当時、同和推進校から全日制高等学校へ進学した率が64.5%であったのが、51年度の調査でございますが、83.1%にまで上がっております。推進校以外の学校におきましては、43年当時83.4%であったのが、51年は89.5%という状況でございます。同和推進校において20%近い上昇率ということは、非常に成果があったと、私は教育の行政の担当者としてそう感じるのでございます。また、これは例になりますかどうかでございますが、たとえば越境入学の問題にしましても、これは、ある同和地区を校下に持つ小学校の例でございますが、昭和43年当時、その小学校では3,108名の児童が来なければいけないにもかかわらず、うち941名が他校へ越境しておったという実情でございます。それが越境入学防止という行政措置を打った発端でございました。これについても、やはり部落差別のこともございましょうし、また劣悪なる施設の状況というのもあったと思います。そんなことが、現在ではもうほんとうにりょうりょうたるもので、むしろないに等しいということになっております。そういうことでございますが、しかしながらこれまで同和推進校の施設につきまして、大変な行き過ぎがあって市民の批判も多かったということは、私は率直に認めます。そのとおりだったと思います。今後の施策を実施するに当たりましては、十分な実態を把握しながら、市民の理解と協力をより一そう得られる予算を執行しなければいけないと思いますが、むしろ大切なことは施設の問題ではなくて、子供を教育する教師の使命感に然えた熱意、実行であると思います。その意味で、私は今後適切なる学校への指導をしてまいりたい、かように考えております。 なお青少年会館の建設の問題でございますが、これは地域における青少年活動の状況でありますとか、また将来の見通し、見込みというものを考えながらしなければいけない、いたずらに施設が大きいということは、これは私ども考えておりませんで、また昨年暮れに議決を賜わりました青少年会館条例というものの施行によりまして、今後一般地区の青少年の利用ということもございます。こういった点も考えながら適切なる内容のものに、今後の建設はしていきたい、かように考えております。以上でございます。 ○議長(福岡たづ君) 深澤経理局長。   (経理局長深澤修君登壇) ◎経理局長(深澤修君) お答え申し上げます。1万平方メートル以上の用地の取得については、市議会の議決を要するようにすべきではないかという問題につきましては、昨年の決算委員会においてご提案があり、検討してまいったところであります。土地問題がきわめて重要な課題として論議される中で、まことに時宜を得たご提案であると存じますが、本市の人口、財政規模等を勘案し、また他の地方公共団体との均衡を考慮いたしました場合、都道府県並みの現行の面積が適当ではないかと考えております。社会的、経済的背景が大きく変わった今日、見直すべき事柄については率直に見直すにやぶさかではございませんが、条例改正問題の前段として、さらに各般の努力を重ねてまいりたいと存ずる次第でございます。したがいまして、議員ご提案の趣旨に沿った事務処理の方法として、事業用地の取得に当たりましては、将来計画の中で見直していくべきであるという観点から、同和対策部を初め関係部局ともども、この方策について協議、検討を重ねてまいりたいと考えておる次第でございます。何とぞご了承を賜わりたいと存じます。 ○議長(福岡たづ君) 大浦職員局長。   (職員局長大浦英男君登壇) ◎職員局長(大浦英男君) 人件費等につきましてのご指摘、お尋ねでございます。来年度予算におきまして、給与調整費として3%相当額を計上している点のご指摘につきまして、昭和53年度の地方財政計画におきましては、給与改善経費として、国家予算に準じまして5%アップ相当額の措置が講じられているところでございますが、本市における来年度予算の編成に当たっては、市政全般に当たりまして、きわめて厳しい財政運営を行わざるを得ない状況のもとで、職員の給与改定のための財源としまして3%相当額の確保がぎりぎりのところでございます。職員の給与につきましては、基本的には本市人事委員会における民間給与の実態調査などに基づく給与報告を基礎として定められるものでございます。今日の長期にわたる経済不況を反映いたしまして、今後の民間給与の動向が相当厳しい状況が見込まれる中で、私どもとしましても、このような実態を十分踏まえた上で来年度の職員の給与改定に当たっては対処してまいりたいと考えております。さらには総人件費が一人当たりの給与と職員数の相乗であるという観点から、事務事業の見直しなどによる職員総数の抑制につきましても、従前にもまして努力をいたし、総人件費の抑制につきまして、今後とも真剣に取り組んでまいる所存でございます。
    ○議長(福岡たづ君) 西尾交通局長。   (交通局長西尾正也君登壇) ◎交通局長(西尾正也君) 市営交通事業の現況にかんがみまして、先ほど藤沢議員から企業努力の問題、あるいは管理者の責任の問題、また職員の勤務態度の問題、あるいはバス、地下鉄の一体的な経営の問題、国、府の補助の問題等につきまして、いろいろとご指摘があったわけでございます。私ども、51年度末の累積赤字も1,126億円という多額に上っておりまして、経営的に容易ならぬ事態に立ち至っております。経営の改善につきましては、かねがね最大の努力を注いでまいったわけでございますが、今後さらにバス、地下鉄両事業につきまして、根本的に見直し、経営の大幅な改善に対処してまいりたいと思います。ちなみにこの10年間、職員数についてみましても、1万6,000人から1万1,000人--約30%の縮減をはかってまいったわけでございますが、さらに諸手当の整理等の人件費の節減も行ってまいったわけでございますが、今後は特にバス事業につきまして、さらに再建計画を変更し、一そうの効率化に努めてまいりたいと考えております。また資産の活用、あるいは付帯事業の運営等につきましても、根本的にひとつ見直しをいたしまして、増収もはかってまいりたい、かように考えております。 次に、職員の勤務態度等の問題でございます。昭和41年度に財政再建団体に指定されまして以来、私どもも管理者としての重大な責任を再認識いたしますとともに、機会あるごとにそういった事情につきまして、職員にも周知徹底をはかっており、企業意識、サービス精神の向上について教育もいたしてまいったところでございます。なお一部にはご指摘のような勤務態度についてご批判も受ける点もございます。今後ともさらに服務規律を厳守し、サービス向上を期するように、局を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 次に、バス、地下鉄の一体的な系統の問題でございます。私ども、将来の計画といたしまして、市営交通機関は地下鉄を根幹--基本にいたしまして、それにバスを有機的に配置するようにバス路線の抜本的な系統再編を行いまして、地下鉄、バスが一体として便利に利用できる交通網の整備をはかってまいりたいと考えております。また、その際利用者の利便と運賃負担の軽減をはかるために、バス、地下鉄の連絡割引制度等、普通券についても実施をしてまいりたいと考えております。現行制度では、地下鉄、バスの運賃は、それぞれ事業別に認可されることになっておるわけでございますが、将来の市内装備につきましては、ターミナルの整備等において、バスと地下鉄を一体とした総合的な交通体系として利用できるようにいたしますとともに、両事業通じて収支相償うような経営のあり方についても検討してまいりたいと考えております。 次に、国の財政援助につきましては、議会の非常なご協力もいただきまして、昨年度は地下鉄につきましては、非常に厳しい財政状況の中で約10%の拡大を認められたわけでございます。今後は特にご指摘のようなバスの経営状況にかんがみ、また関係方面でもバスの将来についていろいろ議論をされておるときでもございますので、来年度はバスの補助制度の改善にひとつ重点を置き、また議会のご協力も得ながら取り組んでまいりたいと考えております。それから府の助成につきましては、先ほど市長からお答え申し上げましたとおりでございますが、なお議会のご協力を得まして、私どもも努力を続けてまいりたいと考えておりますので、よろしくご了承賜わりたいと思います。 ○議長(福岡たづ君) 17番藤沢和親君。   (17番藤沢和親君登壇) ◆17番(藤沢和親君) ただいま市長さん初め理事者の方々からご答弁をいただいたわけでございますが、核心から離れていた点を再質問させていただきます。私が、貴重な時間をいただき質問いたしました基本の問題、すなわち本市の経済基盤の引き上げ対策、大阪市に活力をよみがえらせる手立て、助成確保の見直しは、もちろんこの場の議論だけでは済むものとは思っておりません。しかしながら、本日のご答弁の中で実行を約された、検討を約されたことについては、予算委員会の議論だけではなく、その後の各委員会においても、機会を股けて経過等についてご報告をいただき、これからも真剣に議論させていただきます。また、ある局については、せっかくの提案を上手な言葉でごまかすような答弁もございました。この局につきましては、委員会でしっかり議論させていただくことを念のために申し上げさせていただきます。 以上、ご答弁は要りません。ありがとうございました。(拍手) ○議長(福岡たづ君) お諮りいたします。この際暫時休憩することに決してご異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○議長(福岡たづ君) ご異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後0時40分休憩     午後1時49分再開 ○副議長(隅野源治郎君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 中井光治君の質疑を許します。23番中井光治君。   (23番中井光治君登壇) ◆23番(中井光治君) (拍手)私は、公明党大阪市会議員団を代表いたしまして、今回上程されております昭和53年度予算案並びにこれに関する諸案件について、市長及び関係理事者各位に質問いたします。順序に従い2番目でありますので、先ほどの質問と若干重複する点もあるかと存じますが、理事者各位におかれましては、誠意をもって明快なるご答弁をお願いする次第であります。 現在、特に低成長という新しい時代に対応するため、大都市の特殊性を考慮しながら、革新都市大阪の第2の段階を指向しつつ、今後の基本的な問題を数点にしぼり、その方向性等をただしたいと思うものであります。さて、政府の景気浮揚対策にもかかわらず、依然として不況脱出の兆しが見られず、さらに急激な円高など、わか国経済を取り巻く諸情勢は、きわめて厳しいものがあります。企業倒産は後を絶たず、昨年の倒産件数は史上最高を記録し、その中でも大型企業の倒産が目立ち、それに伴う失業者の誘発、雇用難など、市民生活に極度の不安と焦燥感を与えているのが現状であります。政府は、今国会の各種答弁の中でも、みずからの経済政策の失敗を認め、38%の国債発行と公共事業の積極的投資の拡大により、景気浮揚に全力を投じようとしているにもかかわらず、大方の見通しは悲観的であり、期待した効果も多くは望めないのではないかと言われております。このような情勢の中で、本市においても市税収入の伸び悩みなど、緊迫した財政状況を考慮しつつ、市民が安心して暮らせる社会施策の充実に全力を注ぐよう、わが党は53年度予算編成に先立ち、地方税財政制度の抜本的改革の早期実現、社会的に恵まれない人々の救済と福祉施策の充実、人間性豊かな学校教育と社会教育の向上、長期不況下における中小企業の救済対策の強化、市民生活安定のための物価対策と消費者保護の充実、ゆとりのある住まいと健康で明るい環境づくり、伝統文化の保護育成と新しい文化都市大阪の建設、水と緑の伝統ある大阪の町づくり等、八つの基本政策を中心に、160項目にわたる要望を行ったのであります。これに対し、市長説明による本市の53年度予算案を見るとき、まだまだ満たされない感を強く抱くものであります。すなわち新年度予算案では、一つには公共事業の推進、中でも都市基盤と生活環境の整備、二つには、不況と災害から市民生活を守る、三つには、福祉の充実と健康の増進、四つには、教育、文化の振興と、以上四つの重点政策を掲げ、財政構造の硬直した中で、社会資本の整備、公共事業の促進、福祉施策の充実にと積極的に取り組んでこられた姿勢に対し評価するものでありますが、本市を取り巻く社会環境は非常に厳しく、中でも本市を支えている経済的基盤は、鉄工、繊維等に象徴されるように、構造不況産業に集約され、その経済的基盤の沈下に一そうの拍車をかけているのが現状であります。市長の予算説明の中でも指摘されていますように、都市基盤の構築と生活環境の整備により、諸施設の管理運営費とその公債償還費の増大、福祉、交通、国民健康保険事業への繰り出しの増高等、必須経費の増加により、財政構造の硬直は、いまや極限に達しているが、財源対策債の補てんで、かろうじて財政運営を維持しているのが現状であります。 まず財政問題についてお尋ねいたします。本年度一般会計の予算は、7,269億9,100万円を計上され、前年度に比べて13%の増となっておりますが、歳入につきましては、市税収入が現行都市税制の不合理性と本市特有のドーナツ化による人口減に加え、とりわけ打ち続く不況のために、都市計画税税率の引き上げ、法人市民税均等割の改定にもかかわらず、その伸び率は9.9%という1けた台にとどまり、伸び悩みを続ける反面、他方、歳出については、維持管理費、人件費、公債償還費等、経常経費は前年度に比べて12.5%の増となっておりますが、それに要する財源は、一般財源総額の89.7%を占めるに至り、公共事業を初め、文教施設、福祉施設等、社会資本の充実、整備をはかる第2部事業費は、前年に比べて13.6%増となっており、これに充当する一般財源は、総額の10.3%に過ぎず、多額の財源対策債等の確保により、かろうじて財政運営がはかられておりますが、本市の財政硬直化は、その極限に達したと言われるとおり、まさに破局の状態であります。そこで市長は、本市財政構造の悪化を食い止めるため、もろもろの施策を講じておられますが、中でも地方交付税については450億円を計上されております。これは、前年度の380億に比べて70億円、18.4%の増であり、地方財政計画の伸び率23.4%に比べ若干低く目になっているものの、52年度の収入見込みは325億円にとどまり、55億円の歳入欠陥を生じる見通しと聞き及んでおりますが、近年、全国的に都市化が進んでいる現状から、都市、農村間の財政需要についての格差是正がはかられつつある今日、こうした本市を取り巻く厳しい現況の中で、果たしてこの450億円が確保できるかいなかについて、非常に危惧するものであります。そこで、この地方交付税の収入確保について、確たる自信があるのかどうか、市長にお尋ねしたいのであります。 次に公債政策についてお尋ねいたします。本市財政の硬直化の要因の一つであります税収入の伸び悩みは、本年度も依然として続いており、歳入総額に占める市税収入の比率は、前年度の39%から37.9%へさらに落ち込んでいるのであります。そしてこの市税収入の伸び悩みを、本市は多年にわたって起債収入に依存して事業を進めてきたため、昨年もわが党の代表質問で指摘したように、起債残高は増高し、その償還費の圧迫は将来憂慮すべきものと考えるものであります。そこで本年度の予算においては、公共事業の増額に伴い、関連歳入たる財源対策債が大幅に伸びているにもかかわらず、総額は996億5,300万円と、前年度比4.4%の伸びとなり、起債依存度については、14.8%から13.7%と低下し、若干の改善がはかられていると思われます。しかしながら、公債費比率については、昨年の15.4%から16%へと上がっており、なお悪化の傾向が続いているわけでありますが、もとよりこれらの問題を根本的に解決されるには、大都市にふさわしい税財政制度の抜本的改正が必要であることは論をまたないところでありますが、現在の国、地方を通ずる財源の極度の不足の中で、制度の大幅な改善が期待できない現状において、本市の抱える都市問題の解決、将来の市民負担の立場から、市政の長期的展望に立って、市長はどのようにお考えか、所信をお伺いしたいのであります。 次に福祉の充実と健康の増進についてお尋ねいたします。私は、今日地方財政は非常に厳しい状況にあるとはいえ、福祉施策というものは一歩も後退すべきではないと確信するものであります。福祉の基盤は、国民の基本的欲求であり、すべての人々がどのような状態や条件のもとにあっても、人間らしく生きる権利と自立して社会的人間としての権利を持った考え方が必要であることは言うまでもありません。一般的に福祉とは、与えられるもの、与えるものという考え方の上に立ち、ややもすると暗い感じを与えていたのでありますが、真の福祉とは、生きがいとバイタリティを与えるものでなければならないと思うのであります。社会福祉といえば、施設を充実させることはもちろんのこと、必ずしもこれだけでは十分とはいえないのであります。なぜなら社会的ハンディキャップを負った人たち、心身障害者やお年寄りなどにとって十分な施設サービスが整えられ、施設サービスを受けるか、在宅サービスを受けるかは、本人や家族の方の自由な選択にまかせるという水準にまで達してこそ、在宅サービスも本物になると言えるのではないでしょうか。すなわち必要に応じた社会福祉の確立こそ急務であると思うのであります。またそれによってこそ社会福祉のコミュニティ・ケアも豊かに発展すると考えるのであります。憲法第25条に、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、すなわち生存権の保障を確立する国の努力と、地方自治法第2条に、住民の安全と健康及び福祉を保持すると明記されているように、地方公共団体との共同の努力によって、福祉の充実に力を入れるとともに、福祉の原点は、行き着くところ健康増進、健康保持のための医療体制を確立することが大事であると信ずるのであります。そこで、これらの点を踏まえ若干の質問をさせていただきます。 市民の健康を守り病気を予防することは医療の基本であります。病気にかかってからの治療よりも、病気にかからないように努力することの方がはるかに望ましいことであります。わが党の提案によってすでに予防医療の一環として3歳児検診が実施されております。予防医療には行政と住民との非常な努力が必要であります。まず市民全体に予防医学の知識を普及することが必要であり、それとともに日常の健康管理、予防医療体制の確立が急務であります。たとえば、そのためには既存の公的医療機関を組織化し、本市の市民病院を中心として数ブロックに分け、ブロック内の保健所は、中心の市民病院と常に密接に連携を保ちながら、区内住民の健康管理、予防医療の推進を行っていけるよう、システム化が必要と考えられるのであります。具体的に提言いたしますと、市民は、毎年1回、無料で精密な健康診断を受けることができることとし、保健所から交付された健康手帳に、毎年の健康診断の記録が記入されるものとします。これによって、市民は医師から適切な指導を受けるとともに、病気を早期に発見し、早期治療ができるのであります。万一病気で倒れたときも、この健康手帳は医師の診断に際して大いに役立つことはもちろんであります。このシステムを実現化するためには、当然、市民病院の機能の強化が必要であり、現在の治療を主体に、さらに精密かつ効率的な検査設備を強化し、要員の確保もしなければなりません。なお、このシステムの重要な機構として、当然のことながら保健所を強化しなければなりません。これらの組織づくりは関係当局の十分な検討が必要であろうし、このために多額の財政的負担が必要でありますが、市民の健康の増進は、大阪市の繁栄の基礎をなすものであり、また、副次的効用としては、健康保険における医療費負担軽減という財政的メリットも期待できるのではないでしょうか。現在の治療本位の医療体制から予防に重点を置いた医療体制への勇気ある転換を強く望むものであります。また、現代の医学は、かつては救急が不可能であった患者の大部分を回復させるほどに進歩し、特にわが国のその方面の医療技術、設備は、先進諸国をしのぐものであるにもかかわらず、今日、救急医療に対しては批判の声が厳しいのは、その医療体系が組織的に完成されていないこと、もう一つは、救急医療が不採算医療であるため、採算、営利を中心にして組み立てられているわが国の医療体制のもとでは、どうしても放置されやすい立場にあるからだと思うのであります。たとえば、現在、救急医療が消防法の中に位置付けられ、その上国のこれに対する対策もあまり見られず、一部の民間病院に大半がゆだねられていることは、その典型的な例と言えるのであります。一方、本市にあっては医療機関の協力も碍ながら、すでに6カ所の休日急病診療体制を一応実現したものの、さらに夜間急病診療体制と特定診療科目の救急医療体制や2次後送患者の受け入れ、3次救急医療にも移行し得る機能を持つ救急センターの設置など、救命救急医療センターの基本的構想の早期実現が望まれるのであります。あわせて、大阪市内並びに周辺地域所在の高度な機能を有する公私の診療機関を包括的に体系化をはかり、これらの機関が3次救急医療機関として、十分にその機能を発揮でき得るよう、早急に整備すべきであります。 次に、医療保険制度についてただしておきたいと思います。医療保険制度については、これまでにも何回となく抜本改革の必要性が叫ばれ、そのつどさまざまな問題点が指摘されてきましたが、第84回通常国会の衆議院社会労働委員会において、厚生大臣が乱立する医療保険制度を、将来は職域保険、地域保険、老人保険医療の3健康保険に統合したい構想を明らかにしております。構想といってもまだアドバルーンを上げただけにすぎないものでありますが、ともかく改革へ向けて具体的に一つの方向を示したことは、一歩の前進であると思うのであります。問題は、どこまで思い切った抜本改革案が出されるかであります。現在の医療保険制度は、組合健保を初め政管保険や国民健保など、それぞれの対象者によって入口も分立しています。中でも政管保険と国民健保は、財政的な基盤が弱く、保険料や給付面で他の保険との間に大きな格差を生んでいるのが現状であります。本市における国保につきましても、毎年保険料の値上げを実施してまいりましたが、医療費改定により医療給付費は増高し、一般会計から多額の繰入金をはかりながら、なお収支は予断を許さない現況にあり、市民の負担も限界にあり、もはや国保会計は破産寸前であります。国民健康保険に対する市民の率直な声は、非常に厳しいものがあります。なぜ大阪市の国民健康保険は高いのですか、どうしても国民健康保険に加入しなければならないのですか、国民健康保険をやめたいですとか、不況のしわ寄せで主人の会社が倒産しましたので、国保に加入をしましたところ、保険料が高く、それでなくても苦しい生活の中で支払いに困っております、どうしたらよいのでしょうか、などという相談を受けます。このなまなましい生活苦にあえぐ市民の声に対して、何らかの救済の手を早急に差し伸べる必要があります。国保保加入者は、経済的にも弱い基盤の市民であり、本市世帯の約半分、100万人以上が加入しているのであります。弱い立場の市民が抜本改革を強く願っている国保問題について、いまこそ指定都市を初め、他の都市も働きかけ、思い切った改革をはかるべきであり、まさにその機は熟していると思うのであります。以上、医療問題について数点ただしましたが、市長のお考えをお伺いしたいのであります。 次に教育問題についてお尋ねいたします。3月2日の警察庁の発表では、昨年1年間に起きた20歳未満の少年の自殺者は、784人を数え、そのうち学業問題が最も多く、219人に及ぶそうであります。またその動機については、授業についていけない、入学試験が苦痛、進学など進路に悩む等、受験に失敗した直後に多く発生しているそうであります。ここでも受験戦争の痛ましい犠牲者が多く見られるのでありますが、中でも小学生13人を含む低年層の自殺者が増えている傾向は、非行化と相まって憂慮すべき現象であります。受験シーズンを迎え、痛ましいニュースを聞くにつけ、子を持つ親の一人として胸の締めつけられる思いで一ぱいであります。集団暴力、自殺、果ては殺人と、小、中学生の非行化の問題が多く発生している現在、その責任はだれにあるのでしょうか。かれらをしてなぜそうさせたのか。私たちは深刻に考える必要があると思うのであります。家庭、学校、社会と三者を比較した場合、それぞれの立場で応分の責任は明白でありますが、中でも家庭と学校の比重は大きいことは当然であります。昨年の日教組沖縄大会では、現在教育の荒廃の責任は、現場の教師も当然負うべきであると、厳しく自己反省された意見が多かったと報じております。教育の場において最も多く子供たちと触れ合う先生の人間性、情熱が敏感に子供たちに反映することは当然であります。たとえ厳しい先生であっても、その先生の人間性、教育に対する情熱は、子供たちに素直に受けとめられているのであります。私は、本市の先生方は、その資質は十分お持ちだと思いますが、一方では多くの問題が現場で起きているのも事実であります。一部では、先生も労働者であると言われていますが、しかし先生方は、人を教えるという一段と高い立場に立っていると思うのであります。したがって、その職業はだれよりも誇りあるものと思いますし、だれよりも責任の重さを自覚していただきたいと思うのであります。それぞれの立場で義務と責任と使命感を理解していただけると思いますが、教員を志す人は、何よりも責任とより高い使命感に燃えて、みずからの職務を全うしていただきたいと願うものであります。本市の教職員に対し、資質の向上と一そうの自覚を喚起する上からも、今後の指導体制に万全を期していただきたいと思いますが、最高責任者であります市長の見解と所信をお伺いしたいと思うのであります。 次に大都市行政を進めるに当たって、学校教育の問題解決は最重要課題の一つであります。市長も53年度予算案の柱の一つとして、教育、文化の振興を重点課題として、教育費843億2,900万円を計上、52年度対比10.8%の伸び率を示し、意欲的に取り組まれる姿勢はうかがわれますが、昨年、本市において策定された1990年の大阪を目指しての大阪市総合計画基本構想の教育基本方針として、学校教育の諸条件を整備し、幼児教育、義務教育、大学教育、養護教育と、それぞれの段階と能力に応じて教育の機会均等と行き届いた教育が行えるようにすると、明確に市民の前に標榜されておりますが、今後の問題点と課題を踏まえ、幾つかの点についてご質問いたします。初めに、本市の人口分布状況を見てまいりますと、都心部で減少、周辺部で増加という流れから見て、学校規模の格差が目立っております。たとえば、市内中心部の小学校では、全児童数七十数名、周辺部の小学校では2,000名を超える現況を考えますと、教育施設の充実と将来の人口配置に沿って学校の適正配置、通学区の再編成を検討する必要があります。一方、市民のコミュニテイづくりは、小学校校下単位に地域振興会等が編成され、その効果が徐々に高まりつつある今日、非常に困難な問題が山積していますが、市民の理解と協力を得るためにはどうあるべきかお伺いいたします。次に、52年4月、学校規模配置の適正化に関する答申として、大阪市学校適正配置懇談会よりの答申の中にも指摘されており、また本市の整備構想の中にも盛られている校区の標準は、小学校は人口約1万人、中学校は2小学校区とし、屋外運動場は児童一人当たり6平方メートル、生徒一人当たり10平方メートルとし、小学校は5,000平方メートル以上、中学校は8,000平方メートル以上確保するとありますが、現状においても学校用地取得に非常な困難をきわめている中にあって、具体的にはどのような施策で事業の執行に当たられるのか、絵にかいたモチにならないようお願いしたいのであります。次に、さきにも述べたとおり、幼稚園の就園率が高まる中で、本市の整備構想の中に、「希望するすべての幼児が就園できるよう、小学校区単位に幼稚園を配置する」とありますが、公立幼稚園は、いまだ1区1園の体制も整っていない現状において、私立幼稚園の役割が非常に大きくなってまいります。このような中にあって、公立幼稚園の建設、私立幼稚園に対する助成等、どのような施策をお持ちなのか、具体的にお示し願いたいのであります。さらに養護教育の問題は、これまた非常に重要であります。基本構想では比較的軽度の障害児のために、すべての小中学校に二、三の養護学級を置き、養護教官主事をすべての小中学校に配置するとともに、養護学級児の診断に当たる養護学級医を拠点校に置く、また重度の障害児に対する養護諸学校の新設と充実、改善をうたわれておりますが、非常に大切な問題でありますので、これについても具体的な施策をお尋ねいたします。次に答申の中にあります学校規模、配置の適正化に対する、区単位に地域住民を含めた協議機関を設置するとともに、大阪市学校適正化審議会の機関を設置し、区協議機関などの意見の調整をはかる等とありますが、基本構想に基づく諸問題について、これらの機関の設置等もあわせ、ただいままで申し上げた幾つかの問題について明快なご答弁をお願いいたします。 次に、不況対策についてお尋ねいたします。本市を支えている経済基盤の98%は中小企業であります。政府は、常に大企業優先政策をとり、その体系の中で中小企業は、それぞれ独自の機動性、創造性、バイタリティを生かしつつ、多種多様な需要にこたえ、みずからを防衛してきたのであります。ところが、昨年度1年間の全国企業倒産は、負債額1,000万円以上で、1万8,471件を数え、前年度に比べて18%の増、負債総額は2兆9,800億円にのぼっております。本市においても、倒産件数の増加により、大阪経済の地盤はますます悪化の一途をたどっている現状であります。したがって、当面の最大の課題は、不況の克服であります。1973年のオイルショック以来、ただエンジンの惰力で漂流している「日本丸」は、すでに5年目を迎えております。漂流から自走へという言葉で表現するように、280万市民は、その激浪の中でみずからの生活防衛と戦いながら、新しい目標と針路を求めておるのであります。不況という長いトンネルを抜ければ、トンネルに入る前の高度成長社会と全く違った社会が待っていると、口で言うだけでは市民は理解できませんし、希望もわかないのであります。市民にとって、このトンネルは、抜けられるのか、抜けられるとしてもいつなのか、またスタグフレーションのトンネルは抜けられても、今度はインフレのトンネルに押し込められるのではないかと、不安定な日々を過ごしております。そこで本年度予算において、不況対策を最重点施策として、苦しい財政の中から公共事業費875億円を計上されたことについては、一応評価するものの、事業内容を見たとき、その事業費の大部分が用地買収費であり、また建設事業費についてもかなりの大規模工事が多く、必然的に参加する業者は大手業者となり、本市の重要課題である中小企業者の景気振興に貢献するとは、とうてい考えられないのであります。さらに、インフレ誘発の要因になるのではないかと憂慮し、むしろ市民生活を圧迫するのではないかと危惧するものであります。これは、政府の公共事業の促進と景気浮揚対策を単に追従した施策と言わざるを得ないのであります。これについての市長のご見解をお伺いいたします。なお、本市の中小企業が現状のままであるならば、ますます窮地に落ち込む企業構造を抜本的に改善して、商都大阪にふさわしい繁栄を目指すべきであります。大阪の経済基盤を支えてきたのは、2次産業を中心とした繊維、鉄鋼、加工、雑貨等でありましたが、いまやその多くは構造不況産業として衰微の一途をたどっております。そこでこれらの企業を蘇生させるには、たとえば高度な技術と新しいデザイン等、知的集約型産業に活路を開くべきであります。しかしながら、一自治体にすぎない本市がどこまで企業構造の体質改善に介入できるのか。また、本市が行おうとする中小企業構造体質改善のビジョンとは、一体どのようなものであるのか、市長の見解を求めるものであります。 大島市長は、昭和49年、中国に渡り上海を姉妹都市として友好の輪を広げてこられました。わが党の竹入委員長も7年前、平和の橋渡しをしてまいりました。戦前本市は、中国貿易により大阪港も栄えていたことは周知のとおりであります。いま、まさに平和条約が締結されようとしているとき、大阪人の持つ高度な技術と経済知識をもって中国貿易を再開させ、8億の中国の人々に大阪の地場産業を紹介し、さらに交流を深めていくことが、不況打開策に大きく寄与するものと信ずるものであります。そこで、大島市長みずから中国に渡り、大阪市民及び中小企業者を代表して、貿易再開に一役をかって出られるお考えがあるかどうかお伺いしたいのであります。 次に、住宅問題についてお尋ねいたします。本市における住宅整備は、戦後早急に住宅を回復するため、公営、民間ともに木造住宅を中心に建設が進められてきました。30年代には、急激な都市への人口集中がもたらした住宅不足を解消するために、中層住宅の建設が進められてきたのであります。その後40年代に至っては、市内のさら地も残り少なくなり、地価も高騰してきたため、工場あと地を利用しての住宅建設、また木造住宅の建てかえ等が行なわれ、高層住宅を中心に、公営、民間ともに住宅建設が進められてきたのでありますが、時代の流れとともに世帯構成の細分化と核家族化が進み、その中でもとりわけ市民の圧倒的部分を占める中、低所得者層にとっては、家族の規模や構成状況、さらには職場への通勤の利便など、それぞれの世帯の生活実態に即した住宅、良好な質の充実した大量の公営住宅を願望しているのであります。このように、現在量的住宅から質的住宅へと新たな転換期を迎えているのであります。住まいは生活の土台であり、住宅難を解消して快適な居住水準を確保することは、市民の健康で文化的な生活を維持するためにも欠かすことのできない基本条件であり、これを踏まえた住宅の建設計画を推進すべきであると考えるものでありますが、いかがでありましょうか。本市の市営住宅は、毎年約3,000戸からの住宅建設を進めてきており、現在の市営住宅管理戸数は約8万戸に達しています。その中2DK以下の市営住宅が約3万8,000戸ありますが、いま市民がその質の充実を強く望んでいるときであり、住宅困窮度に応じた入居選考を取り入れ、住宅形式も世帯構成に応じた多様なものを考えるべきであると思います。また、市民に不人気な住宅については、将来、市民の要望に即した住宅形式に改造する等、計測を進めていくべきであると考えるものであります。また、本市のマスタープランによりますと、1990年には常住人口300万人を達成目標にしております。そこで現在までの常住人口の動向を見ますと、昭和40年をピークに減少傾向にあり、特に中心区においては、その減少が目立っております。しかし都市圏全体としては、人ロ増加を来し、その結果として著しいドーナツ化現象を生み出しております。こういった現況において人口確保の基本となるのは、住宅政策のいかんにかかっております。しかるに、住宅建設の現況を見ると、非常に相矛盾した結果が出ているのであります。すなわち、近年住宅建設戸数は、公営、民間をあわせて毎年約3万5,000戸の住宅建設が進められているのであります。このまま住宅建設を進めていくならば、300万人口は容易に達成されるのでありますが、しかしこれに反して、人口は依然として減少の一途をたどり、いまや270万人を割っている状態であります。これは、いかなる要因によるものか、全く不思議な現象であります。一つには、核家族化による世帯構成の低下、二つにはセカンドハウス的な持ち家制度の増加、それに民間住宅の建てかえ等を見込んだとしても、これに適合する要因は考えられないのであります。これはマスタープランの常住人口300万人達成に向けての住宅施策の誤まりであるのか、それとも大阪市が市民にとって住みにくい町であるのか、その真実の原因をどのように把握され今後の住宅政策をどのように進めていかれるのか、市長の所信のほどをお伺いいたしたいのであります。 次に港湾事業についてお尋ねいたします。海の玄関である大阪港も、南港整備の進むにつれ港湾機能も充実してまいりました。年々賃物取り扱い量も徐々に増加し、国際貿易港としての重要な役割を果たしております。しかしながら、市民の港としては、いまだ親しみを感じるにはほど遠いものがあると思われます。しかし、大阪港の歴史は古く、開港以来百余年を迎えております。その間大阪市民のとうとい財産と手によって築き上げられてきた市民の港であります。港が市民に遠いものではなく、親しみを感じさせるような開発計画を立案すべきであります。幸いに、現在ポートタウンの建設、海洋レクリエーション施設等の計画がありますが、北港の南北地区、埋め立てあと地の利用計画などは、まだこれからの問題であります。過密の中に閉じ込められた市民にとって、大阪の海こそ唯一のオープンスペースであり、そこで市民がより一そう海に、港に親しみを感じるよう、たとえば市民が余暇を楽しむ休暇村、健康アイランド等、夢とロマンのある計画を策定すべきであると考えますが、この点についてのご見解をお伺いいたします。 最後に都市交通問題についてお尋ねいたします。本市の交通事業会計は、年々悪化の一途をたどり、52年度末推定で地下鉄、バス両事業合わせて1,133億円の累積赤字に上り、深刻な状態に陥っております。過日、本市はバスで平均22%、地下鉄で同21%アップの運賃値上げ案を発表いたしました。世間では長期の不況により大型倒産、解雇などが相次ぎ、ますます市民の生活が逼迫する中で、今回の値上げ案は、本市交通局の財政事情は理解できるとしても、出費増をしいる足かせとなることは必然であります。いま、ここに市民の立場に立って考えたとき、少しでも市民の負担を軽くするという基本精神に基づき、この問題を対処していくべきであります。そのためには、まず都市政策の一貫として、国に対し大幅な国庫補助の増額を要求するとともに、大阪府に対し、利用者の多数が府民であること、また従来より府の補助がほとんど皆無に等しい現状と納税に対する利益の平等性の立場からも、府に対して補助金増額を強く要求されるよう望むものであります。現在、府は、地下鉄事業について市外延伸分の建設費のみ、わずか4分の1を、しかも6年分割払いで負担しているにすぎないのであります。今後、市域内についての拡張、改修に対する補助をも行うよう努力すべきであります。差し当たり地下鉄1号線の混雑緩和対策費としての助成をするよう要望すべきであると考えているものであります。バス事業は、今日まで人員の削減をはじめ専用レーンの拡大等、企業内の経営効率化を進めてこられたにもかかわらず、バス事業への本市一般会計からの繰り出し総額は、53年度予算案で77億円にも達し、その額も年々増加するばかりであります。貴重な財源が十分活用されているとは思われないのであります。その中にあって、たとえばバスの利用状況等を勘案した場合、その約半分近くの利用者が府民であることから考慮しても、府に対して応分の負担をしいるべきであると考えるのであります。しかし、たとえこれらの方策を講じたとしても、年々累増する赤字の根本的解決策とはならず、市民生活を圧迫するばかりであります。もはやバスの企業性はもとより、存続性についても問われるところであり、再度根本的に洗い直す必要があると考えますが、市長のご見解をお伺いいたします。さらに、公共性から見て、バスがいま以上に市民の足として信頼され、活用されるためにも、バスが地下鉄や鉄道との接続の役目を果たすとともに、通勤、通学交通としてだけでなく、業務交通や日常生活の交通機関として有効に利用できるよう企業努力をすべきであります。そのためにも地下鉄、バスの乗り継ぎをより便利にするための共通運賃制度の実施等、総合的な交通体系を考えるべきであると思いますが、市長のご見解をお伺いいたします。さらにまた、都市交通の行き詰まり打開のための提言は、多くの学者や関係者の間にありますが、いまひとつ実現への可能性は少ないようであります。現在、警察、運輸省、建設省、通産省等は、それぞれの立場で交通問題についてかかわっていますが、それぞれの機関で微妙に食い違い、積極的な対策を推進できない状態であります。そこでわが議員団として提案することは、交通問題について、国、地方とも総合的に担当する機関を設け、そのため市長みずからが中心となって意欲的に進めていく考えがおありなのか、その点についてのご意見をお伺いいたします。 以上をもって一応私の代表質問を終わりますが、なお答弁の内容により、再質問の機会をいただくことをお願いいたし、質問を終わります。ご清聴大変ありがとうございました。(拍手) ○副議長(隅野源治郎君) 理事者の答弁を許します。 大島市長。   (市長大島靖君登壇) ◎市長(大島靖君) 中井議員のご質問にお答えを申し上げます。 まず財政問題についてのご賃疑でございます。今日、未曽有の地方財政の困難の中で、私たちの大阪市の財政もきわめて困難な事態に立ち至っておりますが、ただ今回の当初予算案の編成に当たって強く決意をいたしました点は、どういたしましても現在の不況から脱出すること、景気の回復が何よりの私たちの先決問題である、そのためにはいろいろな問題もございましょうが、とにもかくにも大幅な公共事業の拡充を実施いたしまして、景気の回復をはかってまいりたいと存ずるのであります。ただ、これに要する財源というものが、きわめて極限されておるのでありまして、今回私どもは、私どもの自主財源のできるだけの拡充の努力はもちろんでございますが、同時に起債、財源対策債でございますとか、あるいは地方交付税の増額に、この財源の確保を期待いたしたのであります。今回、当初予算に計上いたしております地方交付税の総額450億円の、これは全国的な地方財政計画における交付税の総額7兆400億円というのが、52年度の5兆7,000億円に比べまして、23.4%であるのに対しまして過大な--要するに見積もりとしては多過ぎるのではないか。またこの確保の見通しはどうかというご意見のようでございますが、この点はお説のとおり、今回の450億円と申しますのは、昨年の当初予算と比べますれば18%ぐらいの伸びでございますが、52年度中の実際の見込み額と比べますと38%程度の伸びになるのであります。したがって、ご指摘の全国枠の伸び23%に比べますと相当な積極計上と言えると思うのであります。ただ特にここで申し上げたいと思います点は、最近特に、50年度以降におきましては、この交付税の問題が地方財源の不足対策といたしまして、減収補てん債、財源対策債と一体的に運用されてまいっておるのであります。現に52年度におきましては、私どもは予算に380億円を計上いたしたのでございますが、実際、地方交付税として交付される見込み額は325億円程度でございまして、55億円の減少になるわけでございますけれども、ただ51年度中に減収補てん債を受けたことによりまして、52年度の清算額が減少いたしまして、これが約10億円、それから52年度の減収補てん債によって措置される見込み額が約20億円、合わせて30億円の補てんがなされますので、実質的には25億円程度の減収に相なります。このことを加えますと、53年度の私どもの450億円というのは、大体26%程度の増に相なるわけでございまして、全国枠の増加23.4%と比べますと、まだもちろん上回っておりますけれども、私どもはこうした国からの財源については、できるだけ努力をいたして確保いたしてまいりたいと思うのであります。特に大都市におきましては、交付税の総額の関係上、起債で振りかえ措置をいたしまして、次の年度以降、その元利償還額を交付税の基準財政需要額に算入していく、いわば交付税の延べ払いといったような措置が最近行われる傾向にあるわけでございます。したがって私どもは、財源減収補てん債等と一体的な関連において考えてはまいりますけれども、しかし交付税そのものの確保にもできるだけ努力をいたしてまいりたい。特に最近、大都市につきましての交付税の交付について、大都市の方は相当やっておるんだから、まあいいじゃないか、もっとおくれておるところがあるんだから、そちらの方へという傾向がかなり強い、また常住人口を算定の基礎にどうしてもいたしますので、大都市の交付税の額が減少する傾向にあるのでございますが、こうした点について今後ともひとつ十分努力をいたして、歳入の確保をはかってまいりたいと考えております。なお、公債政策につきましては、公債政策というものは、私どもの都市政策を実施してまいります上で、特に都市施設の建設事業につきましては、どうしても後代の市民にも負担を願うという意味におきまして、公債政策に大幅に依存せざるを得ないのでありますが、ただ、公債というのは、もちろん借金でございますから、どの程度借金に依存することが適当であるかどうか、この辺の考え方が非常にむずかしい点でございます。その判定の一つの基準といたしましては、ご承知のとおりに公債費比率というのがございます。これが財政運営の健全化を確保し、公債累増の歯止めをかける一つの指標になるわけでございますが、大阪市の場合は、大体公債費比率が51年度から14.6%、52年度15.4%、53年度は16%と相なるわけでございます。この公債費比率の点から申しますと、まだ公債政策には余裕があるということは申せましょうけれども、しかし昭和38年度当たりと比べますと、もう3倍以上にふえておりますし、他の大都市に比べましても、なお公債費比率は高いという関係にございます。また全国の地方財政計画と比べましても、歳入の中での公債収入の割合はなお高うございますし、歳出の中での公債償還費の割合も高うございます。そうした点でかなり公債依存が進んでまいっておると言わざるを得ないと思います。ただ、その結果といたしまして、今日大阪市における都市施設の建設というものは、他の地方公共団体に比べまして、大幅に進んでおるということが言えると思うのであります。たとえばその顕著な例が下水道の整備とごみの焼却施設の完成でございますが、そうした面で今後そうした基礎的な都市の構築に要する費用というものは、他の公共団体に比べてかなり軽減されておると思うのであります。そうした点で、今日これから下水道を建設する、これからごみの焼却工場を建てるということになりますと、まことに膨大な財政負担で公債に依存することがきわめて大きくなるのでございますが、そうした基本的な土台の構築が一応整ってまいりました大阪市としては、比較的今後の公債依存については楽な立場にあると思うのでございますが、しかし、同時に今後のさらに一段の大阪市の飛躍という点を考えてみますと、なお公債政策によります建設拡充ということも今後とも必要であろうかと思います。ただ財政の健全性との関連において、ご指摘のような点については十分留意をいたしてまいりたいと存じます。 次に、福祉の問題についてのご質疑、またご意見でございますが、福祉の問題は、19世紀から20世紀にかけての世界の最大の問題でございます。貧乏というものが、人間の幸福の敵である、貧富の格差を是正しなければならないということで、世界各国が巨大な投資を福祉の問題に対して行ったわけであります。また、社会保障でありますとか、社会保険といいました新しいシステムを開発いたしまして、巨額の投資をいたして、今日福祉というものはきわめて顕著なる進歩、向上を見たのであります。まだまだ福祉の完成には道は遠いのでありますけれども、相当な進捗を見た。しかし、人間は、しからば貧富の格差が是正されれば、それで幸せかと申しますと、決してそうではない。ご指摘のように、さらに健康の問題というものが、人間の幸福の大きな目標でございまして、これがご指摘のように今後の問題--20世紀から21世紀にかけての世界の大問題であろうかと思います。したがって、私どもも大阪市として市民の福祉を完成いたしますとともに、市民の健康を守るということ、これが私どもの今後の大きな課題、使命と相なるであろうと思うのでありますが、私は、この健康の問題につきましては、総合的な取り組みが必要である、健康の問題については関連する要素は多々ございます。たとえば医療の問題。今日、医療の混乱ということが言われておりますが、医療の混乱というものは、限りある医療資源を--必要な医療というものを必要な患者の方へ向ける、いまは十分必要な医療が必要な方向に向かないために医療の混乱ということが指摘されておるわけでございますが、そうした必要な医療を必要な方向へ十分向けていく、地域的な医療のシステム化ということが、今日非常に大きな問題でございます。ご指摘のような救急医療の問題、これもこうした地域医療のシステム化の中の最も大きな要素でございますので、ご意見のように、今後さらに一段の進捗をはかってまいりたいと思っております。私どもは日曜、休日の救急医療の問題について取り組んでまいったのでございますが、特に夜間の診療が市民の切なるご要望でございますので、今回の予算にも措置をさせていただいておるのでございますが、ご指摘のように、こうした救急の問題を含めて、医療全体のシステム化をはかってまいることに今後とも努力をいたしたいと思うのであります。さらに私どもは、健康の問題というものに根本的に取り組んでいく必要がある。すなわち、単に治療の問題ということではなしに、予防の問題であるべきであるというのは、中井議員ご指摘のとおりであります。この点が、私は今日の健康の問題、医療の問題の非常に大きなポイントであろうかと思うのでありまして、したがって、私どもも予防的な健康対策というものに、今後真剣な努力をいたしてまいりたいと思うのであります。さらに私どもは、健康の問題というものを、やはり生涯的な問題として取り組んでまいる必要があろうかと思うのであります。そういう意味で、私は保健所の機能活動というものがきわめて重要であろうかと思うのであります。やはり年取ってからの健康の問題をやるのではなしに、子供のときから、赤ちゃんのときから、生まれたときから、生まれる前から健康の問題というものを計画的に、生涯的に取り組んでまいることが最も必要ではなかろうかと思う次第でございます。ご指摘のように健康の問題は、広い意味の福祉ではございますけれども、私どもは真剣にこれから21世紀にかけての問題として取り組んでまいりたいと存じます。 それに関連いたしまして、医療保険の問題でございます。国民健康保険事業、これは市民の健康確保のためには欠かすことのできない、きわめて重要な事業ではございますが、大変な財政窮迫の状況でございますので、どうしてもこれは、医療保険全般の中で解決していくよりほか道はないと思われるのでありまして、私ども厚生省に強く働きかけまして、社会保障制度審議会の場において、医療保険全般の問題の中の処置の問題として取り上げていただきたいとお願いをいたしておるのでありますが、当面、政府といたしましても、老人医療の問題というものが、一つの大きな財政問題の要素をなしておりますので、老人医療の問題を特に別建てとして考えてはどうかということで、目下鋭意検討を続けておられるところでございます。この点については、今後とも市民の医療の問題でありますと同時に、財政上のきわめて大きな問題でございますので、ひとつぜひとも市会の皆様のご協力もいただいて、抜本的な制度の改正の中で善処をいたしてまいりたいと考えております。 なお、教育問題についてのご質疑でございますが、青少年の非行化の問題、これは今日世界的な問題でございますが、中井議員ご指摘のように、その原因並びに対策というものは、家庭、学校、社会各方面に及ぶものであり、また各方面の協力なくしては青少年の非行化の問題は解決できないと思うのでありますけれども、私は、特に青年の生きがいの問題というものが根本ではないかと思うのであります。私が一番気になります問題は、毎年全国、ことに西日本各地--九州、四国、中国、北陸各方面から大阪へ勤労青少年の諸君が、学校を出まして来てくれるわけであります。これは、大阪へ出てひとつ大阪で実業の勉強をしたい、りっぱな大阪商人になり、大阪の産業人になりたいという希望に燃えて出てくるわけでございますけれども、ことに中小企業、零細企業に勤めました場合に、いわゆる数カ月、あるいは1年の間に迷いを生じて、生きがいというものを見失なって、ともすると非行化の傾向がある。私は、これは非常に大阪市全体の責任として対処してまいらなければならない。すなわち、働く青少年諸君に、仕事に精を出して、これに生きがいを見つけてくれれば、これにこしたことはないと思います。しかし、そうならない諸君もおる。そうした場合に、何か公共の福祉への参加、地域社会のために少しでも役立つことはできはしないか、そうした具体的な行動の道を与えていくということが、私たちの仕事ではないかと思うのであります。そうした面でも、今後とも努力が必要でございますけれども、特に最近痛感いたします点は、非行化の年齢が逐次低下してまいることであります。高校から中学校、あるいは小学校--年齢が低下する、しかもこれは社会の問題というよりも、もっと身近な家庭の問題であり、学校の問題である。私は、特に教育問題の中身に触れるつもりはございませんけれども、ただ、はなはだ子供たちには向き向きがいろいろある。学問が--算数ができ、国語ができて、高校、大学へ行くのが向いておる子供もあるでしょう、あるいはスポーツ、体育が向いておる子供もある、あるいは手芸とか、絵とか、音楽に向いておる子供たちがある、その子供たちがそれぞれの適性を発見して、そこに将来の生きがいを見い出せるということが、何よりも大事な点ではないかと思うのでありますけれども、そうした青年--生徒、児童を通じての青少年非行化の防止は、私どもも最大の努力を傾注すべき問題だと存じますので、今後ともご指摘のように努力をいたしてまいりたいと存じます。 なお幼稚園の問題についてのご指摘でございますが、これは公立幼稚園、ことに私立幼稚園、あるいはもっと別な観点から申しますと、保育所。こうした全般的に就学前の子供たちの保育、教育の問題というものが、今日非常に大きな問題に相なってまいっております。幼稚園の施設、あるいは私立幼稚園への助成の問題、援助の問題等につきましては、教育長からお答えを申し上げたいと思いますが、特に今後の大きな問題といたしましては、幼児教育の中身の問題、幼稚園とか、保育所における、単に預かるということでなしに、ほんとうに子供たちの将来の適性を伸ばしていくという、何を教えるかという幼児教育のカリキュラムの問題が大きな問題に相なってくると思うのであります。幼児教育が今後いかにあるべきかということにつきましては、各方面の専門家のご意見を、現在、教育委員会におきましてもお伺いをいたしておるようでございます。これらの点につきましては、教育長からお答えを申し上げたいと思います。なお、教育施設の整備の問題、適性配置の問題、適性規模の問題等については、これはまた教育長からお答え申し上げるのが適当かと思いますが、特にその中でも養護学校の問題について、私は一言、この席をかりて申し上げておきたいと思うのであります。養護学校の建設の問題は、学校教育法の規定によりまして、明らかに知事の責任と相なっておるところでございます。したがって、大阪市内における養護学校の建設につきましても、私どもは先年来、強く黒田知事に対しまして、責任を果たしてもらいたい、すなわち大阪府において建設をしてもらいたいということを強く要請をいたしておりましたけれども、どうしてもお建てにならないわけであります。私どもは、これは大阪市の税金で措置をする問題ではないものでございますから、何とかして大阪府にと思ったんでありますけれども、どうしてもできない。学校の建設というのは、1カ月や2カ月でできる問題ではないのでございまして、間に合わなくなる。このまま放置いたしますと、教育の現場が著しく混乱をいたしてまいりますことは、火を見るよりも明らかでございますので、やむを得ず大阪市で代行をいたして、これを建設するという挙に踏み切らざるを得なかったということを、ひとつ特に私は申し上げ、市会の皆様方のご了承をいただきたいと思うのであります。なお、私どもは、大阪市が黒田知事にかわって、これをやることにつきまして、特に将来、大阪府がやる能力と意欲を持った時点におきましては、ひとつ大阪府で引き取ってもらいたい、また、しかるべき財政援助をやってもらいたいというような条件をつけておりますけれども、この十分なる回答を得るに至っておりません。さらに私は今回の予算編成に当たりましては、特に譲歩に譲歩を重ねまして、養護学校の建設につきましては、大阪府と大阪市と、地方自治法による事務組合をつくって、これで協力して建ててはどうかというところまで、私は譲歩し、大阪府に提案を申し上げたのでございますけれども、これも遺憾ながら承知をしてもらえなかった。したがって、私どもはそうした大阪府の十分な確約を得るに至らないまま、時間切れのまま、ここに当初予算の中にこうした予算を計上せざるを得なかったという点について、特に私はこの機会をかりてご報告をし、かつご理解を賜わりたいと思う次第であります。 次に経済政策についてのお尋ねでございますが、私どもは当面の不況克服策として、公共事業の大幅な促進をはかってまいりたいと思いますが、しかし中井議員ご指摘のように、この公共事業の促進によって、単に大企業を利するだけで中小企業が置き去りになるようなことがないように、またインフレ促進になることがないように、こうした点には私どもは十分な配意をいたしてまいりたいと思います。同時にまた、私どもは公共事業の促進だけが万能薬だとは決して思わないのでありまして、他の施策との総合的な運営によって景気の回復をはかってまいりたいと思うのであります。現在国会で問題になっております各種の所得減税の問題もございましょう。また、きめ細かい中小企業対策の問題、特にきめの細かい中小企業金融対策、また下請けの問題についてのきめの細かい配慮。特に昨年来問題になっておりました円高の問題。今回、緊急施策として、政府におきましても、いわゆる円高対策法を制定いたしまして、2月14日から施行の運びに相なっております。また、いわゆる構造不況法案が、現在国会に提案されまして--これは2月21日に閣議決定、直ちに国会に提案されております。それから離職者法、これもこの1月から施行に相なっております。こういう緊急の不況対策の法的な整備と相まって、総合的に景気の回復をはかってまいるようにいたしたいと存じます。さらに大阪経済の将来における構造的な再編成の問題。これは景気が回復すれば、それで大阪の経済はよくなるかと申しますと、決してそうではない。やはり将来にわたって大阪の現在の産業の構造、どちらかといいますと、素材的な産業であり、中間製品的な産業に主体がございます大阪の産業構造というものを都市型産業に編成がえしてまいるという、景気回復後における大きな課題を背負っておるのでございます。私どもは、そうした観点において、こうした努力をいたしてまいらなくてはらなないと思いますが、特にこの問題は、単に日本の問題、大阪の問題だけではなしに、国際経済の中における、世界の経済の中におけるしかるべき分業の制度の中において解決をしてまいらなければならないだけに、非常にむずかしい問題であろうかと思います。いわゆる都市型産業というもの、付加価値の高い産業、あるいは情報産業でありますとか、あるいはファッションデザイン型産業でありますとか、いろいろなことが言われておりますけれども、そうした中小的な一般的な方向はそうでございましょうけれども、これを現在の大阪の産業からそういう方向に向けて、どう具体的に転換してまいるかということは、これからの大きな問題で、各方面の意見、特にこの問題は政府が、こうあるべし、あるいは、大阪市、大阪府がこうあるべしというべき問題というよりも、産業界自体、商工業界自体が真剣に対処してまいるべき問題であろうかと思いますが、現在、大阪通産局におきましても、こうした将来の大阪経済のあり方について、各方面の権威者の意見を徴して、近々結論も出てまいるやに承っております。そうした点におきましても、私どもも研究を進めてまいりたいと存じます。 なお中国貿易の問題でございますが、将来、大阪の経済は、そうした国際経済の中で、世界的な分業の中で再編成をしてまいりますことが必要でありますと同時に、もう一つ大阪の将来の問題として大切なことは、すなわち大阪というのは東京と並んで日本の経済の中心地域でございますので、日本の経済の今後の大きな課題というものは、世界の経済にいかに貢献してまいるかということでございますけれども、その貢献の具体的な道は、日本の市場というもの--まことに巨大な日本の市場を世界に開放するという輸入の問題、もう一つは開発途上国に対する経済援助、技術援助、この二つが日本の経済が世界に貢献する具体的な道でありますが、私は、東京とか、大阪のような日本の経済力の集中している地域は、そのことを私たち自身の問題として、大阪の問題として、大阪経済の問題として、これを考え、実践してまいらなくてはならないと思うのであります。たとえば、いま大阪の港は、現在輸入は年間6,000億円ぐらいでございますが、輸出は1兆4,000億円で倍以上--完全な輸出港でございますけれども、私は、将来の大阪の港の姿というものは、そうした観点から日本が市場を世界に開いていく、その窓口になる。大阪は、そういう任務を持っておるとするならば、大阪の港はもっと輸入港にならなくてはならないんじゃないか。そうした意味合いで、私は大阪というものが国際的な輸入の窓口になる、また開発途上国に対する技術援助、経済援助の窓口になる、そうした使命を持っておるのではないか。そのことを私どもは、大阪市政としても、あるいは大阪経済界としても、みずからの問題として身近に考え、それを実践してまいることが必要ではないかと思うのであります。先般、アフリカのリベリアという国から、上水道を建設したいので、大阪市役所に対して技術援助の申し込みがございました。大阪市の若い職員が--リベリアという国は世界で一番暑い国でございますけれども、勇躍その任に赴いてもらったのであります。私どもはそうした将来の任務を持っておりますので、したがって中国との関係、あるいは上海との関係におきましても、そうした観点で今後とも十分密接な連絡をとってまいりたいと存じます。 次に、住宅政策の問題についてのお尋ねでございますが、マスタープランにおける人口の問題。将来人口を300万と想定いたしまして、現在の270万前後のところから、将来は300万という人口の適正規模に至るわけでございますが、その間における住宅政策がきわめて大きな要素を占めることは論を待たないのでございます。ただ、これを算術計算にいたしますと、30万人の増加でございますので、1世帯3人と計算いたしまして、10万戸建てれば、これで300万になるということでございますが、しかしご承知のように、現在の住宅問題というものは、必ずしも量だけの問題ではなしに質の問題、過密、狭小の問題の解消という大きな問題もございます。したがって、人口の30万の増加のためには、10万の住宅が必要ではなしに、さらにもっと大きな30万から40万の住宅の建設ということが、おそらく必要に相なるのではないかと存じております。そうした意味合いから申しまして、現在官民合わせて住宅の総数は相当量建っておるわけでございますが、人口がふえないのはどうした理由であろうか。この点はほんとに基本的な疑問であり、そのことがまた今後の大阪市の住宅政策の出発点でございますので、昨年10月に住宅審議会に今後のあるべき大阪市の住宅政策について諮問を申し上げまして、その住宅審議会で一番最初に問題になったのは、ただいまご指摘の点でございます。したがって、なぜ人口がふえないのか。住宅が建っても人口がふえないのかどうか、そうした根本的な分析から、ただいま出発して検討を続けていただいておるところでございます。私ども、この住宅審議会の今後の住宅政策の策定を時々ご報告も申し上げご意見も承ってまいりたいと存じております。 大阪港の建設は逐次進んでまいっておりますが、大阪港というのは、いわゆる市民の港として、明治以来営々として建設を進めてまいったところでございます。神戸の港というものは、市内各所から一望のもとに見えるのであります。したがって、比較的市民と港との近接感というものがあるのでございますけれども、大阪の港というものは平地でございますので、なかなか市民の日常的な目には触れにくいのでございまして、したがって、もっともっと、私どもは市民の皆さん方に親しんでもらえるような大阪の港でなくてはならないと思うのでございますが、今後とも南港の整備が進むにつれまして、さらに北港の建設の問題が出てまいります。南港も現在約75%は造成をいたして、もうかなりよくなってまいっておるのでございますが、北港地区は全体で600ヘクタール--巨大な造成でございまして、この本格的な土地の利用は、おそらく昭和60年代以降になろうかと思います。これをどういうふうに利用していくか、これは非常に重大な大阪市の将来の問題でございますし、また私どもにとりましても、市民の皆さん方にとりましても非常な関心事であろうかと思います。昭和60年代と申しますのは、大阪市政がちょうど100年を迎える時期にも相なっております。私どもは今後の問題として、市政100年に当たっての大きな一つのプロジェクトとして、北港地区の利用計画等も十分研究を進めてまいらなくてはならないかと思っております。 最後に交通問題についてのお尋ねでございますが、私ども今回の料金改定をお願いするに当たりまして、基本的に大阪市の総合交通政策を推進してまいります責任を特に痛感をいたすものであります。すなわち、交通事業の経営における公共性と独立採算制の問題。私どもは基本的に公共性と申しますか、単に独立採算制をとっていく、あるいは赤字にならないようにするということであれば--単にそのことだけでございますれば、赤字路線を縮小してまいればよろしいのでございますけれども、そうはできない。やはり市民の足、通勤の足を確保するという公営交通事業の基本的な責任がございますので、私どもは、いわゆるライド・アンド・ライド計画による総合交通政策というものを、一日も早く実現いたしてまいりたい、推進してまいりたいと思う次第であります。なお、交通事業の経営の点につきましては、国の援助、府の援訪をさらに努力いたしたいと思いますが、特に大阪府の援助については、きわめて貧弱かつ遅々として進まない状況にございますので、今後ともひとつ皆様方のお力を得まして努力いたしてまいりたいと思います。なお、交通問題についての各省の行政の連絡調整一体化の必要については、お説のとおりきわめて大事な問題だと思いますし、ことに私どものライド・アンド・ライド計画というものが、いよいよ実現してまいりますと、警察行政、運輸行政、建設行政、もう各方面に影響するところきわめて重大でございますので、単に現在私どもが関係機関でもっております交通五者会議とか、そういう程度のことでは、とても処理のできないような難問題がいろいろあろかうと思いますので、もっと強力な連絡調整の方途を考えてまいらなけれぱならない、鋭意努力をいたしたいと存じます。 ○副議長(隅野源治郎君) 圓井教育長。   (教育長圓井東一君登壇) ◎教育長(圓井東一君) 教育の問題が数点ございますので、お答え申し上げます。 まず第1に、学校規模の格差、通学再編成といった問題でございますが、学校の適正配置の問題につきましては、去る昭和51年7月に教育長の諮問機関といたしまして、学校適正配置懇談会というものを設けまして、自来ご審議を願ったのでございますけれども、去年4月に答申をちょうだいしたのでございます。現在、小中学校合せまして406校ございますが、個々の学校を見てみますと、300人未満の過小校あり、あるいはまた1,500人以上の過大校ありといったことでございまして、学校教育上、この懇談会の答申にもございますように、いろいろな問題があるということでございます。教育委員会といたしましては、この答申を具体化していかなくちゃならないのでございますが、校下によりましては、人口流動が大変激しいところがございます。適確に対処してまいるには困難な問題も多いわけでございます。個々の学校につきましては、学校が市民生活に密着しておるということも考え、関係市民の意向を十分配慮しながら、通学区域の再編成といったような問題につきましても検討をいたしまして、慎重に対処してまいりたいと考えます。 次に第2に学校建設の見通しでございます。学校施設の規模、基準というものの具体化についてのお尋ねでございますが、中井議員ご指摘のようなものは、大阪市のマスタープランにあります学校施設の目標数値でございます。現在、小学校が288校、中学校が118校ありまして、人口が270万人余でございますから、数としましてはほぼ見合っておるのではないかと考えておりますが、個々具体には、先ほども申し上げましたように、過小校あり、過大校ありでございまして、その適正配置につきましては慎重に検討を加えなければならないと考えます。また、個々の学校の校地の大きさにつきましても、すでに既成市街地化した大阪市内でございますので、いろいろとむずかしい問題もございます。よりよい学校環境づくりに今後とも努力してまいりたいと存じます。 第3に、幼稚園教育、あるいはまた幼児教育の問題でございますが、大阪市内の幼稚園は、公私立を合わせまして、226園、幼児数にしまして5万6,682名でございます。5歳児就園率は75.5%、保育所も合わせますと96.1%といったような非常に高い就園率になっております。しかし、そういった中で公立幼稚園はどうかといいますと、園数が64園、園児数が1万1,705名でございまして、私立園は園数が161園、園児数が4万4,809人でありますから、その私立園の占める比重は非常に高いというのが現状でございます。公立幼稚園の収容につきましては、まず私どもとしましては、5歳児の入園希望者を全員収容するということをまず第一に考えております。特に人口が急増しておる地域で、公私立幼稚園がともに少ない、したがって就園率が低いといったような地域を重点に置きまして、新設あるいはまた学級増をはかりながら、収容規模の拡充に努力をしてまいります。今後とも幼稚園の整備計画を進めるに当たりましては、国並びに大阪府における幼稚園教育振興方策及び私立幼稚園、あるいはまた保育所などの計画との関連といったものを十分にらみ合わせながら充実に努力してまいりたいと考えます。 次に、私立幼稚園の助成策でございますが、保護者負担の軽減といった面から考えまして、大阪市の単費による事業として、幼児教育費補助並びに国の振興施策に基づきますところの就園奨励費補助といったようなものを実施しております。昭和53年度におきましても、これらの補助制度の拡充をはかるべく予算を計上しております。今後ともその拡充につきまして努力をしてまいります。また、私立幼稚園の助成策につきましては、現行制度上から主として大阪府において行われておるのでございます。その充実をはかるように、大阪府に対しましても、今後積極的に働きかけてまいりたいと考えます。 なお、先ほど出ました幼児教育の問題。国会での幼児教育の論議の速記録を拝見しますと、幼児教育というのは、幼稚園、あるいはまた保育所における教育が幼児教育であるというような答弁が、文部省で出ておるのでございますけれども、私はそれではいけないと思うのであります。幼児教育というのは、やはり生まれる前--赤ちゃんを生むのは女性でございますから、若い女性の幼児教育から、妊娠中の胎児の期間、あるいは出産後の乳幼児教育といったものを含めましての全体的な幼児教育を考えなければいけないと思うのでございます。特に0歳児から3歳児までが医学の面での--知能指数の成果が上がるかどうかというキーポイントは3歳児までであると言われております。したがいまして、こういった点を考えまして、医学とか、心理学とか、教育学とか、あるいはまた社会学とかいったような学者の研究によって幼児教育というものを、ほんとにもっと研究してもらって、若い女性に幼児教育というものを、ほんとうに分かりやすく知ってもらわなければいけないと私は考えております。そういった意味合いで、幼児教育研究所の構想と組織というものを前年に引き続きましてことしも予算計上しておる次第でございます。 次に養護学校の問題でございますが、52年度現在で576の養護学級を設置しておりますが、53年度はさらに15の新設を予定しております。したがいまして、合計591学級と相なります。なお、養護学級の今後の新設につきましては、年次計画というものがございまして、昭和56年度で720学級まで持っていきたいということを考えております。養護学級の配置につきましても、昨年の2月に養護教育審議会から答申をちょうだいいたしまして、障害児童、生徒の出現率でございますとか、あるいはまた居住分布などを考慮して配置してまいりたいと考えます。なお、今後の養護教育につきましては、昭和54年4月1日から義務制になるのでございますが、それを目前にしまして、本市の現状というものを十分にらみ合わせて、学校、学級といった両面の充実、整備をやってまいりたいということでございます。先ど市長からも答弁がございましたが、本年4月には養護学校を1校開校する予定で近く学校設置条例の改正のご審議をお願いすることにしておりますし、今後とも養護学校の増設については努力してまいります。53年度は新設2校の予算を計上しております。それにしましても、設置義務のある大阪府の大幅な援助、助成がなければならないと思うわけでございまして、今後とも強力に大阪府にお願いをしてまいります。 最後に適正配置審議会の問題でございます。基本的な方向は、先ほどお答えしましたように、学校適正配置懇談会から答申があったとおりでございます。その中で、ご指摘のように審議会の設置が述べられております。現在、関係局ともいろいろ協議をしております。だんだん機運が醸成してまいっております。ただいまのところのめどとしましては近く--できますならば今議会中にでも市会のご審議をお願いしますような、そういった段階まで持ってまいりたい、かように考えておるような次第でございます。以上でございます。 ○副議長(隅野源治郎君) 西尾交通局長。   (交通局長西尾正也君登壇) ◎交通局長(西尾正也君) 基本的な事柄につきましては、先ほど市長からご答弁申し上げたとおりでございますが、まず第一に、国、府の助成の強化、ことに1号線の混雑緩和に対する府の援助等についてでございます。国の財政援助につきましては、議員の皆様方の絶大なご支援によりまして、漸次改善の方向にあるわけでございます。地下鉄につきましては、来年度から建設費補助事が実質約60%に改善されることになったわけでございますが、なお、今後とも引き続きその拡充に努めてまいりたいと考えております。それからバスにつきましては、昭和48年度から新たな財政援助措置がとられておるわけでございますが、その後も極度の経営悪化に悩むバス事業の現状にかんがみまして、その対策について関係方面でいろいろと議論をされておるところでございます。来年度は特にバスに重点を置きまして、行政路線の補助等、抜本的対策の確立について、議会のご協力も得まして、要望してまいりたいと考えております。それから府の補助についてでございますが、ご承知のとおり本市の交通事業は、広く大阪都市圈の経済活動の基盤をなしておるわけでございます。また、市民以外の利用者が過半数を占めておることなどの点から、かねてから予算の編成期を初め、あらゆる機会をとらえまして、府に要望を続けてまいっておるところでございます。現在のところ地下鉄の市域外延伸に伴う建設費の負担を除きましては、現在のところ実現をしておらないわけでございます。53年度の予算編成に当たりましても、地下鉄の市域外延伸に対する建設費の負担のほかに、市内の地下鉄建設費と、それからバス車両購入費につきまして、本市が一般会計で負担をしておりますその半額を負担してもらいたい旨の要望をいたしておるところでございます。それから地下鉄1号線の混雑状態でございますが、ご指摘のとおり、ピーク時には270%にも達しておりまして、きわめて危険な状態にございます。一日も早くその緩和対策を講じなければならないわけでございます。現在、企業債等の財源を確保いたしまして、その準備を進めておるところでございますが、今後この問題も含めまして、地下鉄に対する財政援助の強化につきまして、国並びに府に対しまして、議会のご協力も得て強力に進めてまいりたいと考えております。 それからバスの効率的経営についてのご指摘でございますが、バス事業におきましては、現在まで再建計画に基づきまして、経営の効率化に努めてまいっておるわけでございますが、依然として企業環境の悪化と乗客減などによりまして、きわめて困難な経営状況にあるわけでございます。そこで今回、再建計画を変更いたしまして、さらにバスの系統につきまして、重複区間の整理でございますとか、あるいは地下鉄への短絡等の抜本的な再編成をいたしまして、乗客の利用実態に即した効率的な車両運用をはかりたい、なお間接業務等の機械化を推進するなど、経営の改善に積極的につとめてまいる所存でございます。 バス、地下鉄の共通運賃制度の問題でございますが、こういった経営改善に努め、またバス、地下鉄一体としての総合交通体系の確立に合わせまして、またバス系統の再編成等に合わせまして、利用者の利便と運賃負担の軽減をはかるために、現在定期券客に実施しておりますバス、地下鉄割引制度がございますが、これを普通券客についても実施していく必要があると考えておるわけでございます。さらに将来につきましては、ターミナルの整備によりまして、バスと地下鉄を一体として便利に利用できるような基本的な交通体系、運賃制度について、ひとつ検討を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくご了承賜わりたいと思います。 ○副議長(隅野源治郎君) 23番中井光治君。   (23番中井光治君登壇) ◆23番(中井光治君) 自席より発言させていただきます。ただいま市長初め理事者からご答弁をいただいのでございますが、私の質問とやや方向性を欠いた点もございますので、再度のご答弁をいただきたいのでありますが、時間の関係上、後日の各委員会に譲りまして、私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(隅野源治郎君) お諮りいたします。この際暫時休憩することに決してご異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(隅野源治郎君) ご異議なしと認めます。よって暫時休憩いたします。     午後3時27分休憩     午後3時47分再開 ○副議長(隅野源治郎君) これより休憩前に引き続き会議を開きます。 近藤正君の質疑を許します。43番近藤正君。   (43番近藤正君登壇) ◆43番(近藤正君) (拍手)私は日本共産党大阪市会議員団を代表して、昭和53年度大阪市予算案並びに関連案件につきまして、質問を行います。 今日、大阪市民を取り巻く状況は、長期にわたる不況とインフレのもとで、いよいよ深刻な事態となりつつあります。中小企業の倒産が相次ぎ、失業者が増加し、自殺者や犯罪もふえ続けています。円の急騰という衝撃的な事態は、繊維製品、めがねレンズ、洋がさなどの地場産業や、輸出関連中小企業に深刻な打撃を与えています。労働者は厳しい賃金抑制と人減らしなどで、生活不安に立たされています。母子世帯、老人、身障者など社会的弱者の暮らしは、低福祉政策のもとで冷酷なまでに切り下げられています。住民の生活環境についても、公害、災害を初め教育、文化、健康問題など幾つかの重要課題が横たわっているのであります。昭和53年度予算審議に当たって、私はまずこのような市民の置かれた状況についてしっかり把握するとともに、市政が市民の切実で具体的な要求に応えていく確固とした決意を特つことが重要だと考えるのであります。さて総額1兆7,217億円、純計額にして1兆1,766億の本予算案は、税収の伸び率低下と経常的経費の増高、市債元利償還の急増など、引き続いて厳しい財政事情にあることを示しています。政府の地方財政計画が建設地方債を振り向けての公共事業の拡大策のもとで、本市の建設関係予算も大幅な伸びを見せ、他方、生活関連予算は、全体的に見ると横ばいであり、また、各種公共料金の値上げも提案されています。市民と市会から厳しい見直しを迫られている同和対策事業費も多少削減されたものの、なお重要な問題点が見受けられます。このような特徴を持つ本予算案が、今日市民の期待に応え、また今後の市政に展望を与えるものかどうか、以下七つの柱に分けて市長並びに関係理事者にお聞きしたいと思います。 第1に、いよいよ深刻化しつつある財政問題についてであります。新年度歳入歳出予算の特徴は、まず税収において法人市民税の大幅減収、特別土地保有税の約7割カットなど、大企業法人への実質的減税と、一方では個人市民税の20%増、都市計画税の6割アップに見られる大衆課税の増高であります。大企業に対する特権的減免税についてもほとんど改善されず、租税特別措置による本市減収相当分は約140億円に達するのであります。加えて国家予算編成の過程で自治省は、地方交付税原資の中に現行国税三税に、一般消費税を新たに加えるなどの大衆課税強化の動きを示したことは、まことに重大なことであります。私は地方税財政の改革に当たっては、全国指定都市の共同要求にあるとおり、法人所得課税の拡充、租税特別措置の整理、補助金制度の改善などを柱とした大都市財源の充実の方向を明確にしつつ、各指定都市や大阪府とも協同して、政府にその実行を追っていくべきだと思いますが、まず所見をお聞かせ願いたいわけであります。 次に、本市の財政構造に関してお尋ねいたします。地方税収の伸びが少ない中で、本年度は財源対策債221億円を含む起債を、一般会計だけで996億金円、特別会計を合わせると2,594億余円を計上しているのであります。これで昭和53年度末の現債高は、実に1兆6,300億円に達する見込みであり、市民一人当たりにすると約60万円の借金を背負うことになります。しかも本年度市債発行高2,594億円に対し、元利償還金は約2,000億円にもなるという異常さを示し、公債費率でも16.0%に上昇しています。つまり市税や交付税など収入の伸びに比べ、借金返済の額が急増し、いまや市財政の深刻な硬直化が進行しているのであります。この原因は言うまでもなく政府による地方自治体への借金押しつけの財政政策にあり、本年度の公共投資拡大策の中で、さらにこれが顕著になっているのであります。他方歳出面ではどうしても避けられない義務的経費は、インフレの進行などにより年々増加し、経常収支比率では昭和50年度から90%台に高まり、さらに悪化しつつあります。このように市財政の構造的危機の進行は切実な市民要求の実現を阻害するだけでなく、自治権の存立にもかかわる重要問題であります。私は大島市長に真剣にご検討いただきたいと思うのは、このように悪化した市財政を再建するための方策を持たねばならないということであります。いわば住民の立場に立った本市財政の自主再建計画を確立して、政府に対し自主財源の拡充を要求し、その実現をはかりながら、同時に本市独自努力も払い、市民福祉を着実に実行することが求められているのであります。市長は、本市財政困難打開のためこのような積極的姿勢を示すべきではないかと思いますが、所見を伺いたいと思います。さらに私はこの市財政逼迫の中での行政の効率的運営についてもただしておきたいのであります。経常収支の悪化、特にその中でも職員人件費を含む行政経費の増加が重要問題となっている中で、行政機構や人員配置のあり方についても、真に住民本位にする必要があります。いわゆる高度経済成長型の開発部門や、管理統括部門などについてはその機構、人員についても見直しが必要ではないか、また急速にふくれ上がった同和対策事業関係の人員についても、わが党の調査によると、今日約1,500名となり、人件費だけでも年間約68億円となっているのであります。私はこれらの過剰人員や行政機構について、市民の要望にこえたて再検討するよう提案するものであります。市長にその考えがあるかどうか伺いたいのであります。 さて今日地方財政の危機に当たり、一部に党利党略に走って、真の財政危機の原因を隠蔽しようとする動きがあります。特に大阪府、市の間での税配分や補助金制度をめぐり、ことさら対立をあおる議論があります。革新大阪府政は今日の深刻な不況のもとでの大幅な税収減に見舞われながら、なお福祉、教育、中小企業対策など苦しい中でも府民の立場に立った努力を続けております。今日、大阪市域で税の配分比はどのようになっているのかを昭和51年度の数字で見ると、大阪市内の徴収された税金の総額は1兆8,000億円でありますが、そのうち国税として吸い上げられたのが1兆2,800億円、71.2%に対し、残り5,200億円が大阪府2,780億円、15.4%、大阪市2,420億円、13.4%となっているのであります。市税の8倍を超える税を徴収している政府に対して、まさに府市一体で市民要求実現の立場から、その改善を迫るべきでありましょう。市長の所見を伺いたいと思います。 第2は、今日重要課題の一つである中小企業対策についてであります。先日問題となった永大産業の倒産による大阪市内の債権者は281件で、債権総額は約97億円にも上っています。円高不況や大企業の反社会的な逆輸入によって、中小企業の経営状態はまさに深刻であり、本市の中小企業対策は一そう重要になっています。そこでまず融資制度についてであります。中小企業融資は、各種制度の限度額引き上げや、返済期限の延長など、今回一部改善されることになりました。しかし中小企業者はその運用に当たって、返済が一時おくれた場合でも、つなぎ融資を認めてほしいとか、融資決定額を押えすぎるなどの不満を述べています。このような実際運用面では改善が望まれますが、いかがお考えでしょうか。 次に、中小企業向け官公需を広げる問題であります。この点は多少改善されつつありますが、現在の中小企業の窮状からすれば、さらに65%程度まで引き上げるべきだと思いますが、お考えをお示し願いたいと思います。さらに今日までわが党が指摘してきたことでありますが、中小企業向け発注の多くを同和建設協会会員業者に偏重させていることについて、現在も全く改められておりません。たとえば淀川区美津島中学校の講堂、校舎、体育館など一連の施設工事をすべて海原建設が独占しており、また現在工事中の浪速第6保育所の建設工事では、同建協加盟の中林土建が請負契約をしながら全く仕事をせずに、日本建産に全部下請させるいわゆるまる投げが行われています。そればかりか、その日本殖産がこれまた野中建産にまる投げをし、二重のまる投げが行われています。しかも中林土建は暴力団山口組系宇田組に入っている中林組と深くかかわっています。このような業者が仕事もしないでもうけていることに、まじめな建設業者から激しい怒りの声が起こっています。市長並びに経理局長には、同建業者によるこのような事実上建設業法違反の不正請負がまかり通っていることに対し、一体どのような対処をされるおつもりなのか、明らかにしていただきたいのであります。 第3に、教育についてであります。先日滋賀県で起こった中学生殺人事件は、受験期を迎えて小中学生の自殺、集団暴行や覚醒剤事件などが激増しているだけに、市民や教育関係者に深刻な不安を与えています。一方学力の問題では、昨年、国立教育研究所の学力調査結果によりますと、授業についていけない児童、生徒がふえております。また、体力についても最近の子供は運動機能が身体の発育に見合った発達をしていないということが専門家の共通した意見として出されています。まさに教育は全体に危機的状況になり、今日の教育荒廃は政府が貧困な教育予算と差別、選別の教育を押しつけてきた結果、学校から教育的、文化的人間的雰囲気を奪い、子供たちの知育、徳育、体育の調和のとれた発達を阻害したことによるものであります。今日、基礎学力、正しい市民道徳と体力、情操を子供たちに身につけさせることは強い市民の願いであり、本市の重要な課題となっています。そこでまず学力評価についてお尋ねします。学力評価は差別につながるなどと誤った同和教育の結果、今日なお旭区高殿小学校、東住吉区矢田東小学校、矢田北小学校などで通知票を出さずにいます。高殿小学校問題については、昨年当局が2学期については総括評価を必ずやりますと言いながら、今日なお出されていません。正しい評価なしにどうして正しい教育が行えると言えるのでしょうか。通知票をもっと科学的で総合的なわかりやすいものに変えていく努力を前提としつつも、児童、生徒の一定期間努力したことへの評価を示すことは国民の教育権に対する当然の責務だと考えるが、教育長の所見を伺いたいわけであります。 次に、偏向教育の是正についてであります。わが党は副読本「にんげん」の押しつけや、狭山闘争の学校教育への持ち込み、さらには狭山事件の教材化を市教委が事実上部落解放同盟と一体となって進めてきたことに再三、再四警告を発してきました。しかし当局は今日なおその是正をはかろうとはせず、狭山事件の教材化などは、指導要綱までつくって進めているのであります。このような措置が教室から潤いとはつらつとした雰囲気を奪ってきたのです。私は改めて教育委員会が副読本「にんげん」の押しつけと、狭山闘争の学校への持ち込みを中止させるとともに、狭山問題の指導要綱をこの際廃止するよう要求するものでありますが、教育長の明確なご見解を伺うものであります。 次に、教育施設の整備拡充についてお尋ねをします。教育委員会の説明によりますと、教育条件整備のために今後3カ年で普通教室456、木造改築で230教室を整備し、その他特別教室整備を当面56教室、屋内体育場30校分の計画をもっているとなっています。私はこれについて一定の評価をするものであります。しかし問題は教育条件整備の緊急度であります。昨年、大阪市教職員組合が行ったアンケート調査によれば、学校で困っているのは教室不足のみならず、窓枠の老朽化、雨漏り、校舎の壁の破損、水洗トイレの破損、水道のカラン不足や赤水などであり、すぐに解決しなければならない課題が山積していることであります。教育委員会の現在の整備関係予算ではとても間尺に合わないというのが現場の声であります。私は市教委がまずすべての学校の総合調査を行った上、責任ある総合的な教育条件整備の年次計画を策定すべきだと考えるが、理事者の見解を伺いたいと思います。 次に市立大学における暴力問題についてであります。市長、この写真をよく見ていただきたいと思います。現在、中核派など暴力集団は、先月21日から学内3号館を、授業用入り口に机を積み上げて封鎖しております。そのために入学試験はロックアウトという異常事態の中で進められ、受験に来た子供たちは校内に入るのに、警察官と職員の間を縫って、受験票を示して中に入らなければならないような状況になっておるわけでありますが、受験生や父兄、そして市民からは、あんなごろつきのような人物を学校においておくこと自体けしからんことだと厳しい批判が出ています。当局はストライキ実行委員会の中に暴力集団中核派、黒ヘル集団や、部落問題サークルである解放研なるものが入っていることが明らかであったにもかかわらず、2月17日午後2時から翌日5時まで団体交渉に応じ、暴力学生は学長が参加していないことを不満として、今回の学園占拠を行ったのであります。多くのまじめな学生は、あんな連中の交渉に応じた大学当局の態度こそ、彼らを増長させている原因である。これから大学はどうなるのだろうと真剣に市立大学の将来を心配しています。また、2億円以上かけてつくった市民の財産である新しい寮もまた暴力集団が事実上占拠しています。当局はこのような集団を仮入居をさせながら、今日なお寮費すら徴収していないのであります。大学当局は暴力集団の寮や学校占拠をいつまで許しておくつもりなのか。大学の破壊者として彼らに厳しい措置をとる意思があるのか、明確な答弁を求めるものであります。 第4に、福祉の問題についてお聞きいたします。今日長期にわたる不況とインフレのもとで、大阪市民の暮らしは深刻化しております。その中でとりわけ低所得者、身体障害者、老人、母子家庭など、社会的弱者の立場にある人々に対する温かい施策の充実が強く求められていることは言うまでもありません。福祉施策に対する市民の要求は、緊急切実であると同時に、多岐にわたっています。私はここで四つの問題にしぼって質問いたします。 まず一つには学童保育の制度化についてであります。すでに学童保育の必要性についてはご存じのことと思います。共働きの家庭の子供が昨日までは保育所に預けられていたものが、小学校に入学するや放課後はかぎっ子として放置され、大きな社会問題の一つとなっているのであります。大阪府下の多くの自治体では、すでに府の補助金も受けて制度化に踏み切っています。ところが大阪市は現在75カ所の民間施設に補助金を出していますが、市の事業として制度化されていません。また一施設への補助金を他都市と対比しましても、本年度実績で本市が年間52万円に対し、京都市は563万円と10倍以上の開きがあり、大阪市の対応のおくれが目立っています。施設の場所採しも深刻な問題がありますが、学校の空き教室の効果的運用で成功している神戸市、北九州市の例もあります。これらの事例にならって、一日も早く本市も学童保育を制度化する必要があります。そのためには民生局と教育委員会の一体となった対応が必要であると思いますが、市長並びに関係理事者の責任ある答弁をお願いいたします。さて私はいまここに幼い2人の子供を抱えた婦人からいただいた手紙を持っております。ひとつ読んでみたいと思います。「昨年、一昨年に続き、ことしもまた保育料が値上げされることを知り、とても納得できずペンを取りました。主人の給料は12万円、とても生活できないので、共働きを続けていますが、2人分合わせて21万円です。子供2人の保育料は5万4,000円、年間では53万7,000円となり、家賃とともに100円の支出となります。今度の値上げで3歳未満児の最高は3万4,000円、1年間で40万8,000円にもなるそうで、とてもやっていけません。何とか方策を講じてください。」というものであります。市民の生活実態を全く無視し、税額だけで負担能力があるとして一方的に決められる保育料に対し、憤りをもって訴えているのであります。大阪市の保育料は、全国的にも最高額と言われていますが、今回の値上げで市民はさらに負担を強いられているわけであります。市民に納得のいく答弁をお願いいたしたいのであります。 次に、100万人を越える市民が加入している国民健康保険事業についてお尋ねします。市理事者は医療費の増嵩に伴い、被保険者負担も17%引き上げられると説明しています。実際には最高限度額を据え置き、保険料の均等割を引き上げたため、かえって低所得者になるほど、過酷な負担が強いられるものとなるのであります。たとえば市民税非課税の3人家族の世帯でも、年額4万1,906円となり、前年に比して39%、1万円以上の値上げになるのであります。3人家族で年間所得165万円の世帯の場合は最高限度額22万6,000円となり、年収の約1.7カ月分は保険料として支払われる結果となります。こうした支払い能力の限度を越えた保険料が、いかに市民にとって耐えがたいものになっているかは、最近の徴収率の低下にあらわれていると思います。市民は保険料を払わないのではなく、払いたくても払えない限界に来ているのであります。民生局は一体どのような改善策を講じられるのでしょうか。私はわが党議員団が一貫して主張してきたように、市民の負担を抜本的に軽減する立場から、20億円を超える超過負担を解消し、療養給付に対する国庫負担率を現行の40%から50%に引き上げ、老人医療費無料化にかかる国保会計への波及分を国費負担とするよう国に強力に働きかけることが重要であると思うのでありますが、所見をお伺いしたいと思います。 さらに母子家庭の乳幼児医療無料化についてであります。市民の期待の大きい施策の一つであり、府下の吹田市、岸和田市などではすでに実現を見ております。最近大阪府も実施に向けて準備されている中で、本市としても早急に実施に踏み切るべきと思いますが、どのように考えておられるのか、市長の所見をお聞かせ願いたいと思います。 第5に、大阪の町づくりについてであります。過去、高度経済成長期に大企業本位の産業基盤整備優先政策がとられ、大阪市の都市問題が激化し、公害の発生、災害の危険、交通問題、住宅や福祉の立ちおくれなどをもたらしているのであります。加えて最近、公害、環境保全対策に対する財界、大企業の巻き返しがはかられ、政府の後退姿勢があらわれております。いまこそ大阪市の町づくりは、市民の生活基盤と福祉の向上を優先させることこそ今日的課題でありますが、まず市長の所見をお聞きしたいと思います。昼間は超過密、夜間は無人に等しくなるのが大阪の中心区の特徴であり、それ自体が重要な都市問題の一つでありますが、今回の公共投資ラッシュの中で、さらに大阪駅前が変容しようとしております。大阪市は278億余円を投じ大阪駅前再開発事業の御堂筋に面した第3棟、第4棟の超高層ビルの完成を急ぐとともに、地下3階、地上25階建ての大阪駅前ビルディング建設で、会社設立に2億円を出資しようとしています。都市の再開発は、それが正しく行われるならば安全な町づくりの一助となりますが、一歩誤れば大災害を生むことになるのであります。過度の人口集中が災害を招き、尊い人命を奪うおそれもあります。大阪駅前のダイヤモンド地下街建設計画も含め、防災の観点から責任ある答弁を求めるものであります。私は公共投資については市民生活に役立ち、また景気対策の効果も上がる住宅、学校、福祉施設、下水道など生活関連事業をもっと重視すべきだと考えるのであります。特に公営住宅の建設については、今日、大阪市で約20万世帯が住宅難世帯と言われ、現に新築、空き家募集には申し込み者が殺到しているのであります。建設に当たっては、隘路になっている用地や関連施設について、公営住宅敷地整備事業制度や、住宅宅地施設整備促進事業を有効に活用すべきであります。この住宅建設などの生活密着型事業の推進が、道路建設などと比べて生産誘発係数が高いこと、つまり景気刺激の効果の高いことが経済企画庁でさえ認めているところであり、私はこれらの公共投資の比重を高めるよう強く望むものでありますが、市長並びに建築局長の答弁をお願いいたします。 次に、公害問題についてであります。現在の公害健康被害補償制度が発足してからすでに3年余経過していますが、大阪市内の認定患者は本年2月末で2万1,419名に達しており、過去1年間で3,192名にふえています。潜在患者を初め公害被害は、汚染された市域の住民すべてに及ぶもので、環境改善、患者救済は依然として重大な課題であります。今日、窒素酸化物の汚染対策とりわけ移動発生源である自動車排ガス対策が、自動車の総量規制を含め、市民から強く求められているところであります。一方市長は、都市機能を高めるためとして、大阪湾岸道路や大阪西宮線などの高速道路及び幹線街路整備が計画実施されようとしていますが、これら幾つかの事業に対しては、多くの住民や科学者が環境問題、特に道路公害防止の立場から反対運動を進めております。私は市民の健康と生活を守る立場から、市独自の環境アセスメントを確立し、科学的な調査と住民合意の上に、これら事業に対処すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。 次に、土地利用計画すなわち用途地域指定の問題に触れてお伺いいたします。市は現在工業専用地域を新たに3倍約2,400ヘクタールに拡大する計画案を検討していますが、関係行政区の多くの市民が線引き案と、そのもたらす結果に疑問と不安を表明しています。工業専用地域に指定されれば、第1にこの地域では新たな住宅、学校、病院、商店、文化施設の建設が禁止され、さらに現に住んでいる市民がやがて将来地域外に何の補償も受けず移転しなければならないこと。第2に、工業専用地域には大気汚染の環境基準が適用されず、したがって総量規制のもとにあっても、局地汚染の増大と、被合汚染のもとで公害発生企業の周辺地域への加害責任が実際上免責されるおそれがあるなど、住民追い出し、公害逆戻りの批判を受けています。特に西淀川区では面積の40%、区民の居住地区を包囲する形の虫食い的線引きとなっており、こうした計画案が企業側の一部代表のほかは、区民だれひとりとして知らされず、つくられるなど、被害住民に対する救済措置や補償の裏づけのない、市民無視の工業専用地域計画案は、少なくとも住民の合意が得られない地域や行政区では再検討すべきであります。理事者の見解を求めたいと思います。 第6に、本市交通事業についてであります。まず自動車事業について伺います。今回提案されております再建計画では料金値上げとともに、バス事業の縮小策が打ち出されております。経営収支の改善という点からのみ検討すればこのようなものとなりましょうが、これでは市バスはますます乗客、市民から疎外されていくことは、火を見るよりも明らかであります。今日のバス事業の窮状は、大都市特有のいわゆる都市問題の一つであり、まさにアキレス腱であります。したがってわが党は、これまでもバス専用レーンの設置、ターミナルの整備、マイカー等への抑制策など、公営交通の環境改善のための本格的取り組みを強く主張してきたのであります。しかし今日の状況はさらにバス事業に対する抜本的対策を必要としております。私は市民の足を守っていくためには、市バスの運行系統について行政路線として位置づけ、国と自治体が共同して責任を負う公共負担制度を確立すること、すなわちバス事業の営業費用の一部も公共負担していくという制度上の確立がどうしても必要ではないかと考えるのでありますが、ご見解をお示し願いたいと思います。そして同時に市バスを単に鉄軌道の補完物としてではなく、市民や乗客の要望に応えて新たな路線を設けるなど、系統の積極的見直しにも着手すべきだと思いますが、関係理事者のご答弁をお願いしたいのであります。 次に、高速鉄道事業を軸とする都市交通体系の問題であります。大阪都市圏の中心に位する本市の交通機関が、周辺府県からの昼間人口の流入により、過大な負担を強いられていることは、高速1号線の超過密状況、2分間隔、10両編成などの超過密ダイヤが組まれようとしていることなどに典型的にあらわれています。私はこの際このような一点集中で過密を激化させる交通体系にメスを入れ、国鉄や私鉄の路線整備を含めて、多心型の交通体系への転換を進めることが、本市の交通機関の正常な運営のためにも不可欠であると思います。また、環状モノレール構想などを計画している大阪府との協力を一日も早く日程に上らせる必要があると考えるのでありますが、市長並びに関係理事者の見解を伺いたいのであります。 最後に同和行政についてであります。予算案で同和事業及び関連事業として総額273億余円を計上しております。これは前年度に比べ35億円余りの減額となっています。しかしこの減額措置が昨年末の決算議会での同和事業見直し決議を尊重した措置ではなく、おもには府の減額措置に乗っかったものであり、本市の独自努力はうかがい得ないのであります。特別措置法施行以来、本予算案でちょうど10年目となりますが、今日まですでに当初計画1,477億円をはるかにオーバーし、53年度予算案を入れてなんと約2,731億円になるのであります。その間約80億円に及ぶ浪速区栄小学校や、区役所の規模をはるかに上回る解放会館など、超デラックス施設を解同の要求するままに進め、議会からも市民からも厳しく批判されてきたところであります。このことは市長が予算説明で述べたように相当な成果を上げてまいりましたなどというものでなかったことは明らかであります。だからこそ議会での見直し決議が全会一致で採択されたのであります。そこで同和行政について市長が本予算案で真に事業の見直しを進めたかどうかについてお聞きしたいのであります。 まず、解放会館の新増設についてでありますが、今回また約14億円、2館分の建設費を計上し、すでに解放会館のある矢田地区に総額22億円で会館をつくるというものであります。さらに浪速区芦原病院に対し今回また14億円余りが施設整備と運営の名目で支出されようとしています。この病院は民間の医療機関であり、運営についても度はずれたずさんな運営がなされてきているのであります。ところが市当局は、昭和43年度から昨年までに補助金、貸付金合わせて31億円以上の支出を行い、今回と合わせて実に45億円以上の支出になるのであります。私は市長が同和事業について今回何を見直されたのか、以上の具体的施策を含めてその率直な考えを聞かせていただきたいと思います。 次に、市民の理解と納得を得る公正な同和行政のあり方についてであります。大阪市は今回まで部落解放同盟の言いなりになって、乱暴な同和地区拡大を進めてきましたが、住吉区では全くの飛び地であるアサヒ衛陶あと地に公園を要求する住民の声を無視して、同和向け公営住宅を建設して地区の拡大を強行しようとしています。しかもこの事業の進め方は、市長の言う市民の理解と納得を得るなどとは大違いで、一部団体幹部に数回説明しただけで工事を強行しようとしたのであります。周辺住民は1万8,000名の署名を持って議会陳情を行い、現在継続審議になっておりますが、市長に出された公開質問状には未だ回答もなされておりません。私はこのような無謀な同和地区拡大と、同和住宅建設については白紙に戻し、真に住民の声に耳を傾けることこそが市民的合意のもとに進める同和行政のあり方だと思いますが、市長の見解を伺うものであります。 次に、今日まで本市が進めてきた同和用地先行取得には行政の主体性は全くなく、解同幹部や関係一部不動産業者の要求のままに事業を進めてきたことは、すでに今日までわが党が明らかにしてきたところであります。行政目的もない市の空地が散在し、同和砂漠などと周辺住民は言っている状況であります。これは用地先行取得などというものではなく、用地の無計画取得と言わねばなりません。ところが本予算案で、またも60億円の予算を計上しております。これはどのような目的で、どの地区に投入される予算なのか、関係局長に明らかにしていただきたいのであります。市長、わが党は特に浪速区、西成区に行政目的もなく散在する土地について、これを一般対策へも有効に使うために転用、換地などの方法も含めて総合的な運用計画をつくるよう主張してきたが、これについては、やる意思がおありでしょうか。また、今回の60億円の予算は、これら散在している29万平方メートルの土地利用との関係で、どのように考えて計上されたものか、市長並びに同和対策部長の考えを伺いたいと思います。 以上私は市政の各般にわたり質問をいたしましたが、市長並びに関係理事者の明快なご答弁を求めたいと思います。答弁のいかんによっては再質問させていただくことを申し添えまして、私の質問を終ります。(拍手) ○副議長(隅野源治郎君) この際お諮りいたします。定刻が参りましたならば、時間を延長することに決してご異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(隅野源治郎君) ご異議なしと認めます。よって時間は延長されました。 ○副議長(隅野源治郎君) 理事者の答弁を許します。大島市長。   (市長大島靖君登壇) ◎市長(大島靖君) 近藤議員のご質問にお答え申し上げます。 まず、財政問題でございますが、税制改正の問題、これは申すまでもなく今日の地方税制、ことに市町村税の実情が、大都市の実態に沿わなくなっておりますという点からいたしまして、私どもといたしましては、根本的な地方税制の改正と取り組んでまいりたいと存じておりますが、なかんずく私どもは国と都道府県並びに市町村、国税と地方税の割合について、私どもは根本的な再検討を必要とする時期にまいっているのではないかと思うのであります。このことは地方交付税の制度の問題にかかわる、ほんとうに根本的な税制の改正に相なりますので、私どもとしては基本的にこういう方向において税制改正の運動を進めてまいりますと同時に、具体的な現実的な問題として、たとえば法人所得課税の改変の問題でありますとか、その他大都市に移譲されました行政事務に対する特例事項に対する財政上の措置でありますとか、こうした具体的な現実的な一歩一歩の前進をはかってまいりたいと思いますが、同時に根本的な制度の改正も目指してまいりたいと思います。近藤議員ご指摘の不公平税制につきましても、租税特例措置法によりまして、特殊の経済上あるいは地域開発上、あるいは産業政策上の必要な措置として税制の特例措置が講ぜられているところでございますが、全国市長会におきましても、私ども全国の市長と共同で、あるいは指定都市と共同で、こうした税制の必要な理由がなくなってまいりますもの、すなわち一定の理由でもって租税の特例措置が行われましても、その必要がなくなって、経済情勢の変転とかそういう関係で必要がなくなってまいりましたもの、あるいは著しく税制の公平観を損なうようなものについては改正してもらいたいという要望を全国市長会と一緒にやってまいっているところでございまして、今後とも逐次改善はされておりますけれども、なお十分でない点もございますので、この不公平税制の改正についても努めてまいりたいと存じております。公債政策の問題、これは借金政策ということで、一面財政の健全性を阻害する要因になりかねないところでございますけれども、同時に私どもの大都市行政といたしましては、やはり積極的に、公債の制度を利用して積極的に建設を進めてまいらなければならない点もございます。現に大阪市の現状と申しますものは、さきに申しましたように、明治、大正以来、着々として進めてまいりました建設行政の結果、今日大阪市の土台というものはきわめてがっちりした確固たるものに相なっているのでございまして、私どもも将来の大阪市の発展ということを考えますれば、いたずらに借金政策ということで縮こまっているのではなしに、ひとつ積極的な施策も講じなくてはならない。しかし近藤議員もご指摘のように、財政の健全性ということも大切でございますから、その辺については十分ひとつ配意をいたしてまいりたいと思うのであります。なお、大阪市の財政の自主再建計画云々のお話でございますけれども、これは大阪府の関係ではなしに、大阪市のことでございますれば、財政の健全性の維持ということについては、私どもはすでに十数年前から取り組んでいるわけでございまして、自主財源の見直しでありますとか、事務事業の見直しでありますとかいうことを、すでに中馬前市長時代の昭和三十八、九年の時代から着々として実施して今日に及んでいるのであります。経済不況によって突如として財政が逼迫してびっくりするということではなしに、やはり継続的に財政の健全性というものには努力をいたしてまいらなければならないと思うのであります。なお、行政機構の整備でありますとか、職員の適正な配置、これは体質の改善、行政の効率化という点からもちろん必要なことでございまして、今後ともそうした行政の効率化の見地から、ひとつ十分研究をいたしてまいりたいと思っております。なお、大阪府との財政の関連の議論につきまして、ことさら大阪府と事をかまえるような議論が横行しているというご説でございますけれども、私は寡聞にしてわが愛する大阪府をことさらに陥れるような議論というものはないと思うのであります。ただ私のけさほどからのご答弁の中で、大阪府との財政に関連した点がございますが、まさかこの点についてのご批判ではなかろうと思いますが、念のために申し上げますと、私が申し上げましたのは、大阪府の責任においてなすべき事業、たとえば養護学校のごときものを、この設置を大阪市に押し付けたりするのでなくして、みずからやっていただきたい。あるいはやらなくても、全額これを大阪府が財政援助するとか、あるいは大阪府下の各市町村と大阪市との間に、何らの根拠もなしに補助金の差をつけている。たとえば老人医療について府下の市町村には8割の補助をいたしているのでありますけれども、大阪市には6割しか補助をしてくれない。あるいは市立病院については、大阪府下の各市町村には一ベッド当たり10万円の補助をいたしているのに、大阪市に対しては補助金はゼロであります。また、政府が税収を7割取っておって、あとの3割が大阪府と大阪市、これはそうでございましようけれども、しかしそれはそれで先ほど来申しているように、税制改正の根本問題として、これは制度の改正としてやってまいらなければいかんのでありまして、その問題といまの問題とはこれはすりかえてはいけないのであって、私どもは根拠のなき議論をいたしているのではないということをご承知おき賜わりたいと思うのであります。 次に、経済問題についてのお尋ねでございますが、中小企業の融資、これは近藤議員ご指摘のとおりまことにごもっともでございまして、私どもも現下の不況の中で苦しむ中小企業のために、たとえば倒産関連融資でありますとか、円高のための緊急融資あるいは不況関連の緊急融資、次々と新しい融資の制度をやっておりますが、これは政府関係融資と相並んで、できるだけ改善をいたして、不況から中小企業を守る努力をいたしたいと存じております。なお、官公需の中小企業の受注割合の問題でございますが、これはご説のとおりできるだけ中小企業に多くまいりますようにいたしたいものであります。現に大阪市の中小企業への発注の比率は、逐次改善されてまいっておりまして、52年度におきましては、まだ上半期の結果しか出ておりませんけれども、たしか51%程度に上昇をいたしてまいっていると思いますが、今後とも努力をいたしてまいりたいと思います。なお、工事の発注の適正化については、もちろんそういうふうに努めてまいりたいと存じております。 教育問題についてのお尋ねでございますが、教育施設の整備の問題、これは確実な実情を把握いたしまして、将来展望をもって総合的に年次計画をもって行うべきであるというご意見、まことにごもっともでございます。ただ現実問題としてなかなか思うようにまいりません点もございますけれども、方向として実情把握、確実な実情把握に基づいて総合的年次計画で進めてまいるようにいたしてまいりたいと思います。 暴力問題についてでございますが、これは暴力というものはおよそ時と場所と理由のいかんを問わず排除すべきこともちろんでございまして、暴力排除については今後ともひとつ努力をいたしてまいりたいと存じます。 次に、民生福祉についてのご質問でございますが、まず学童保育の問題、これは近年家庭婦人が職場へ進出いたすことが多い。加えて核家族化の傾向がございます。そうした中で留守家庭の児童対策の必要性がきわめて緊要なことと相なっております。民生局におきましても、昭和44年から留守家庭児童対策実施要綱並びに助成要綱を設けまして、この予算の範囲内で留守家庭児童対策に対しまして助成をしてまいっております。現在厚生省におきましても、都市児童健全育成事業をやっておりますが、私ども国の事業の推移を見ながらこの対策の充実をはかってまいるようにいたしたいと存じます。この保育料の問題でございますが、私ども保育料を定めるにつきましては、国が定めております保育料徴収基準に基づきまして、世帯の所得の状況に応じた額を保育料として徴収いたしたいと存じておりますが、本市の場合は53年度におきましても、国が持っております基準の7割--70%程度にとめおいた額でご負担を願うことにいたしている次第でございます。 なお、国民健康保険の保険料の問題でございます。国民健康保険の重要性はもとよりでございますが、財政状況きわめて困難をきわめているのでございまして、保険料を抑制しようといたしますれば国の助成でありますとか、一般会計の繰入金をふやすよりほかないわけでございまして、市の一般会計からの繰入金にいたしましても45億円を繰り入れまして、前年度よりも10億円も増額いたしまして、厳しい財政の中ではございますけれども努力をいたしているのでありますが、これ以上ということになりますと、今後の問題としておのずと限度がございますので、先ほど来申し上げましたように、制度の根本的な改善というものが必要であろうかと思うのでありまして、現在努力をいたしているところでございます。また、母子家庭の乳児医療費につきまして--母子家庭と申しますのは、社会的、経済的にもきわめて弱い立場にございますので、その医療費の問題はきわめて重要な問題の一つでございます。この問題につきましては、まず母子家庭の実態、特に医療の実態を把握する必要性が非常に高いと考えまして、昨年の11月に実態調査を実施いたしておりまして、現在その結果を集約いたしております。今後この調査結果を分析し、慎重に問題を検討してまいりたいと存じております。 次に、同和行政につきましては、私ども過去10年ほど環境の改善、施設の整備についてずいふん努力をいたしてまいったのでございますが、ただ現在の厳しい財政事情のもとで、なかなかこれまでのような急ピッチの事業がきわめて困難な状況に相なってまいっておりますし、また、過般来市会においてもいろいろご意見を賜わり、ご批判を賜わり、また附帯決議としてもこの問題についてのご注意をいただいておりますので、今後とも市会の意を体して善処をいたしてまいりたいと考えております。なお、保有土地の有効利用については、十分有効に利用できるように努めてまいりたいと存じております。町づくりの問題についてのお尋ねでございますが、町づくりの基本的な考え方は、いろいろむずかしい議論はございましょうけれども、ほんとうに活力のある、住みよい働きやすい町をつくり上げていくことが一番基本的なことであろうかと思います。ただ、住みよい町をつくるからと申しましても、活力のない町をつくってしまってはどうにもならないわけでございまして、また、同時にいくら活力がございましても、それが公害その他住みにくい町では困るのでございまして、住みよいということ、それから経済的その他都市の活力、この両者の調和ということが一番大事な点であろうかと存じます。 市街地改造と防災の関係についてのご意見もごもっともなところでございまして、市街地改造が必要だからといって防災の観点を無視するわけにはいかないのでありまして、特に現下の高層住宅の問題あるいは地下施設の問題については、特に防災の観点が必要でございますので、今後ともご指摘の意を体して、防災の問題については十分な配慮をいたしてまいるようにいたしたいと存じます。 なお、住宅の問題について、今回53年度の国家予算におきまして、公営住宅の敷地整備事業、また、住宅宅地関連公共施設の整備促進事業という二つの新しい制度が実現をいたしたのであります。これは私どもかねがね要望をいたしておったのが、やっと今回実現をいたしたのでございまして、こうした新しい制度の活用を今後十分はかって住宅の建設の促進に当たってまいりたい。特に近藤議員ご指摘のように、住宅の建設というものは、関連景気回復と申しますか、経済的に関連するところ、きわめて広範でございますので、その影響が広範でございますので、景気回復の点から申しましても、きわめて有効なところでございましょう。私どもも今後とも住宅の建設には特に努力をいたしてまいりたいと存じます。 公害の問題でございますが、窒素酸化物対策、あるいは道路公害の問題についてのご注意、私どもひとつ--窒素酸化物公害の問題でも、特に大気汚染の問題につきましてはいろいろ問題もございまして、各方面の努力によって逐次解決をいたしてまいりましたが、特に窒素酸化物の問題が今後最も大きな問題でございます。窒素酸化物の環境基準の達成のためには、工場から排出されます窒素酸化物ももちろんでございますが、特に移動発生源、自動車からの窒素酸化物対策というのがきわめて重要な問題に相なっております。私どもライド・アンド・ライド計画によりまして、総合交通、都市交通体系の整備をはかってまいっておりますのも、窒素酸化物の環境基準達成のために自動車全体の走行量を削減することが必要でございますので、この努力を続けてまいっているところでございます。なお、道路公害につきましても、騒音の問題、排気ガスの問題については、ひとつ十分努力をいたしてまいらなければならないと存じておりますが、ただ都市施設をつくってまいります点で、全体として必要な施設というものは、やはり進めてまいらなくてはならない。しかしその中で公害というものもできるだけ少なくしてまいらなくてはならない、両々の調和ということ、これが私ども大切であろうかと思いますが、特に公害の問題点は、私ども市政の重点施策として実施をいたしてまいっているところであります。 工業専用地域の指定の問題についていろいろご意見をいただいておりますが、マスタープランの土地利用構想を推進してまいりますためには、どうしても住工混在の解消が必要でございますので、その第一歩として工業専用地域を拡大いたしたいと思うのでありまして、いろいろご心配の向きもございましょうけれども、しかし私どもそうした点については十分対策も考えてご心配のないようにしてまいりたいと思っているのであります。これをやらないと、それこそ住工混淆のむちゃくちゃな町づくりになってしまいますので、どうしてもこれはやる必要があるのではないかと思います。しかしそのためには住民の、市民の皆さん方の十分なご理解をいただきたいと思いまして、現在説明会を各地区においてやっているところでございます。この市民の合意がないと何もやらないということになりますと、これはやはり議会制度の根本に触れる問題でございまして、私どもはやはり市民の意見の総括、集約としては、私は議会のご意見を承るということによって、市民の判断を仰いでまいりたいと存じます。 なお、最後に交通問題につきましては、交通局長からご説明を申し上げたいと思います。 ○副議長(隅野源治郎君) 深澤経理局長。   (経理局長深澤修君登壇) ◎経理局長(深澤修君) 一括下請につきまして、お答え申し上げます。建設業につきましては、原則としまして建設業法に基づく建設大臣または都道府県知事の許可を得て行うことになっており、本市においても入札参加登録時におきまして、その確認を行っているところでございます。ご承知のように、建設業におきましては、その産業構造としまして元請、下請といった関係が多く見られますが、建設業法におきましても、特定建設業の許可といった形でこれを認め、下請にかかる規定も設けられているところでございます。ご指摘の一括下請といいますか、いわゆるまる投げの問題につきましては、建設業法上も発注者の承諾なしにはこれを禁じているところでございまいます。したがいまして本市におきましても、建設業法を初め関係法令の遵守義務を常日ごろ機会あるごとに注意を喚起し、周知徹底をはかっているところでございます。一括下請の事実があるといたしますれば、きわめて遺憾なことであると存じます。具体的な例につきましては、関係先とも十分連絡調査をいたしまして、問題があれば指名留保等の措置をとるなど毅然たる態度で臨んでまいる所存でございます。 ○副議長(隅野源治郎君) 圓井教育長。   (教育長圓井東一君登壇) ◎教育長(圓井東一君) 学校教育の場では、基礎学力を身につけよう、それから好ましい情操教育をしなければいかんという基本的な認識につきましては、私は近藤議員と同じ意見でございますけれども、しかしながら教育の危機でありますとか、教育の荒廃というようなことを誇大におっしゃるということは、私の見解と異にいたします。そこで第一に学力評価の問題でございますが、評価は正しい教育に結びつくということについては、私は全く同感でございます。そこで通知票あるいは指導記録といったものにつきまして改善すべきであるということで、昨年来鋭意関係者をもって協議会をつくりましてやってまいりました。これは主として小学校でございます。中学校につきましては、各教科別にそれぞれの制度がございますので、主として中学校でございますが、ごく近日中に教育委員会の基本的見解がまとまりますので、これをもって発表しまして、全市小学校長に示しまして指導の徹底をはかってまいりたいと考えます。もとよりこの中身としましては、単に学習についての評価のみならず、その子供の体力あるいはしつけ等について親の皆さん方にご連絡すべきは連絡するという全人格的な評価ということを主眼としております。なお、一例として挙げられました高殿小学校の例でございますけれども、確かに昨年の7月にこれまでの通知票を廃止したのでありますが、その理由は、子供の学習状態というものがはっきり--通知票のかわりに保護者との教育懇談というようなものの時間を長くして、より懇切なる教育評価というものを親に連絡するというのがその趣旨でございまして、しかしながらこれでは子供の学習状態がはっきりわからないというようなご意見もございました。それについていろいろ学校側も検討したのでございます。教育委員会も指導したのでございますが、教育委員会としましては、こういった保護者の心情というものを十分理解しなければならないと同時に、通知票は必要であるという二つの観点から、学校を指導してまいりました。とりわけ子供を中心にした心の通う教育指導というものを通信カードに生かすというように、内容点検というものを学校側に要請したのでございます。その後3学期に入りまして各教科、各領域にわたりまして総括的にわかりやすい文章によりまして通信カードを作成するようになったという報告を私は受けております。 次に、副読本「にんげん」の問題、あるいはいわゆる狭山事件の学校への持ち込みという問題でございますが、これはもとより同和問題の解決は行政の責任でもございますし、国民的課題でもある。そこで教育委員会としましては、憲法並びに教育基本法の精神に基づきまして、同和教育の推進に鋭意努力しているところでございます。そこで副読本「にんげん」は人類不変の原理であるところの自由と平等に関する問題、すなわち人権尊重にかかわる内容を盛り込んだ読本であると考えております。あらゆる教科、あらゆる領域の中でこの目的を達成させるために、教育指導計画の中に位置づけまして、児童生徒の発達段階に即して活用しているのでございます。今後十分児童生徒の生活意欲、学力の向上と深くつながるように配慮してまいります。次に、狭山闘争の学校への持ち込みというようなことでございますが、確かに一部の学校においてではございますけれども、狭山事件の学習におきまして、教材化し切れないものを使ったり、また運動に学ぶというようことから、未消化のものを学校に持ち込んだりした事例がございました。さりとてこれらをもって大阪市における同和教育のすべてがそうであるかのような誤解、不信というものを一部の父母、市民に与えたことは、まことに遺憾でございます。同和教育基本方針の趣旨をはき違えたり、または運動を学校教育の場に持ち込んだりするようなことは、断じて排撃しなければなりません。そして学校教育を混乱させないように、そういったことは早期に是正する必要があると私は考えております。そこで狭山事件の学習につきまきしては、やはり児童生徒の発達段階というものを十分考えなければいかん。また、地域の実態というものを十分踏まえなければならない。そして十分なる教育的配慮をいたしまして、これを教材化するということでなければいかんと思うのであります。なお、先ほど指導要綱の持ち込みはやめるべきだということでございますけれども、そのような指導要綱はございませんので、そのことを申し上げておきます。以上でございます。 ○副議長(隅野源治郎君) 芝山建築局長。   (建築局長芝山嘉郎君登壇) ◎建築局長(芝山嘉郎君) 建築局関係のご質問についてお答え申し上げます。公営住宅敷地整備事業、それから住宅宅地関連公共施設整備促進事業につきましては、市長が先ほどお答えしたとおりでございまして、建築局といたしましては、目下建設省において具体的な方法について詳細な検討を行っておりますので、強く本市の実態を訴えまして、今後公営住宅のみならず、公団、公社、民間住宅を含めた住宅団地の整備に活用してまいりたいと考えております。 次に、アサヒ衛陶あと地の住宅建設の問題でございますが、昨年5月以来、通算5回にわたって地元の方々にこの事業の必要性についてご説明し、一応のご了解を得て9月に着工いたしたものでございますが、その後、周辺住民の方々の強い公園の要望があり、現在のところ事実上作業にかかれない状況にあります。ただ着工後も周辺の方々と数回お会いもし、この事業に対するご理解とご協力をお願いしているところでございます。私といたしましても、先ほども申し上げましたように、昨年来地元の皆様方にこの事業の必要性についてるるご説明いたしているところでありますので、一日も早く事業のスムーズな推進をいたしたいと考えているところでございます。 ○副議長(隅野源治郎君) 寺本同和対策部長。   (同和対策部長寺本七郎君登壇) ◎同和対策部長(寺本七良君) 同和対策部関係につきましてお答え申し上げます。 まず解放会館の建設の問題でありますが、会館の建設につきましては、地区の人口、世帯数等とも勘案しながら、同時にまた地区の行政のセンターとしまして、隣保事業並びに社会教育事業を実施いたしますのに必要な規模と機能を持った計画を策定してまいったのであります。矢田解放会館の計画策定に際しましては、市会でのご意見を体しまして慎重に検討を加えまして、施設内容につきましても、できるだけ効率的、実質的なものになるように策定いたした次第でございます。それから芦原病院でございますが、病院につきましては医療センター的な要素もございますので、建設、運営とも府と協議をしてまいりたいと思います。 次に、用地の先行取得についてでありますが、公共事業の施行にとりまして用地の取得はきわめて重要でありますが、同和対策事業におきましては、同和地区が狭小過密な住宅が密集していること、権利関係がふくそうしていることなどによりまして、まとまった公共用地の確保が困難であり、かつ同和対策事業が限られた期間内に実施しなければならないことから、用地先行取得は特に緊要であったのであります。さらに数年前までの高度経済成長期には、地価が年々高騰いたしました。国におきましても、公共用地の先行取得のための立法措置並びに行政指導等、各種の施策が講ぜられました。こうした客観的情勢の中で、本市におきましても、昭和48年3月大阪市土地開発公社を設立しまして、公共用地の先行取得に努力してきたところでございます。その結果、先行取得しました公共用地の事業化には、相当期間のずれが生じました。空地のままとなっているようなことも事実でございます。今後は現在手持ちの用地の有効活用をまずはかること、それから一般論としてではなく、ケース・バイ・ケースで具体的に関係局と協議をしてまいりたい、かように考えているところでございます。また、53年度の用地の先行取得に関してでございますが、これは先ほど申し上げましたように、取得済みの用地の有効利用を最大限努力いたしまして、新規の買収は緊急なものに限りまして、必要最小限のものとしてやっていく所存でございます。以上でございます。 ○副議長(隅野源治郎君) 西尾交通局長。   (交通局長西尾正也君登壇) ◎交通局長(西尾正也君) 交通局関係のお尋ねに対しまして、お答え申し上げたいと思います。 まずマイカー規制、バスの優先通行の問題、またバスに対する国の補助、行政路線補助等の問題でございますが、自動車交通による都市の公害をなくし、都市の環境機能を維持回復するためにも、マイカー等の自動車総量を制限することはぜひとも必要であると考えているところでございますが、そのために公共交通機関を充実いたしまして、利用者をこれに転移させると申しますか、そういう方策を講ずる必要がございます。その一環といたしまして、現在関係機関とも協力をいたしまして、バス優先化対策の推進に鋭意努めてまいっているところでございます。現在バスの優先通行路線は86.7キロございますが、そのほかバスの優先信号でございますとか、専用レーンのカラー舗装など実施いたしております。今後もさらにバスの優先化施策の拡充を通じまして、また、バスの経営基盤の確立にも努めてまいりたいと考えているところでございます。それからバスに対する国の補助でございますが、昭和48年度から新たな財政援助措置がとられているわけでございますが、その後も極度の経営悪化に悩むバス事業の現状にかんがみまして、その対策が関係方面といろいろと議論をされているところでございます。来年度は特にバスに重点を置きまして、行政路線の補助等含め、抜本的な対策の確立をひとつ国、関係方面にも要望してまいりたいと考えておりますので、ひとつ強力なるご支援をお願い申し上げたいと考えるところでございます。 次に、地下鉄の整備計画に関してでございます。地下鉄の整備につきましては、国、私鉄、バスなど公共交通機関と一体として、ネットとして効率的に市民の足としての役割を果たし得るように計画的に整備を進めているところでございます。マスタープランに基づきますライド・アンド・ライド計画でも地下鉄を都市交通網の基幹として整備をしていく計画でございます。具体的な路線網につきましては、昭和60年を目途に都市交通審議会の答申路線を基本といたしまして計画をいたしております。1号線の過度の集中を排除するための配慮につきましても、いたしているわけでございます。個々の路線の建設経常につきましては、国、私鉄、市営交通機関等、既存の輸送分野がございます。地下鉄につきましては、大阪都市圈の中核でもあり、長年の経験と実績を有しております大阪市が、今後も経営に当たっていくべきものと考えている次第でございます。その際に必要な財政負担等につきましては、これは必要に応じて府にも要望してまいりたいと考えているところでございます。よろしくご了解を賜わりたいと思います。 ○副議長(隅野源治郎君) 43番近藤正君。   (43番近藤正君登壇) ◆43番(近藤正君) 私が質問したことに対する脱落の部分もありますので、再質問をさせていただきたいと思います。 特に財政問題に絡んでの話でありますが、私は270万市民の幸せのためには、与党も野党もないのだ。この1年間市政を前進させるためにはほんとうに知恵を出し合っていこうという立場に立って質問をさせてもらったつもりでございます。今日大阪市の現状に対する自覚の問題でございますが、自覚症状のない患者ほど始末の悪いものはありません。ぜひとも問題がどこにあるのかということを考えていただきたいと思うわけであります。特に同和問題のことに関しては、大島市長は一貫して避け続けていると思います。共産党が市民の理解と納得を得てということを発言し始めてからすでに数年たちます。当時私たちの発言は少数でありました。しかしいまや今日今議会でまさに全会一致で可決されるほどに多数意見になっているのであります。むしろ大島市長あなたほど、あなたこそが少数意見ではありませんか。 第2には市立大学問題についてであります。この問題につきましては、暴力問題一般論で答えられておりますけれども、もっと具体的に考えてほしい。私、卒業した母校でもありますし、今日の事態はほんとうに心が痛む。中核派や革マル、黒ヘル集団、解放研などの暴力集団に対する当局の考え方がどこにあるのか、ここに問題があると思います。迷える小羊などという答弁をなさった理事者もおられるようでありますが、こういう理解ではこの問題を解決することはできません。再度ご答弁をお願いいたします。 それから先ほど言いました同建協の問題でありますか、先ほどはあえて私は申し述べませんでした。この二重のまる投げをやりました中林土建は、暴力団山口組系宇田組に入っている中林組と深くかかわっているわけであります。まさにいまや行われている実態は、暴力団に対する資金源にもなり得る。個々の問題にメスを入れない限り私たちのほんとうに疑問がとけるわけではありません。この問題については調査し報告するかどうかお答えをいただきたいと思います。以上二、三点の問題につきまして、再度ご答弁をいただきたいと思います。 ○副議長(隅野源治郎君) 大島市長。   (市長大島靖君登壇) ◎市長(大島靖君) 財政問題については、皆で意見を出し合って協力していきたいというご意向でございますが、私も全く同感でございます。今日の地方財政の危機また大阪市の財政の窮状は、まさに未曽有のものであろうかと存じます。その意味におきまして、市会はもちろんのことでございますが、各方面のご意見をいただき、またお助けをいただいて、皆で力を合わせてこの財政の健全化をはかってまいるようにいたしたいと存じます。近藤委員のご意見に私も全く同感でございます。なお自覚症状云々の問題につきましては、私どもも今日の財政窮状のよって来たるところはどこにあるか、そうした点についていろいろ分析もいたし、勉強もいたしておりますが、まだいろいろ気のつかない点あるいは勉強不足の点もございましょうが、そうした点につきましてはまたご指摘もいただき、お教えをいただいてひとつ努力をいたしてまいりたいと存じます。 次に、同和問題につきましては再三申し上げておりますように、過般来市会でもいろいろご意見をちょうだいし、ご批判もいただきご指摘もいただいておりますので、私ども市政の運営について基本的に市会のご意見に従ってこれをやっていくということはもちろんのことでございまして、私ども同和問題、同和施策につきまして、市会の意を体してやってまいりたいという考えでございますし、また現実の努力を続けているところでございますので、ひとつご理解を賜わりたいと存じます。 また、暴力問題、一般もさることながら、特に市立大学において各種の好ましくない事件が起こっているのが憂慮にたえないというご意見、ごもっともでございまして、こうした各種の最近の事象につきましては、十分善処してまいりますよう、私どもも大学当局とひとつよく相談をし、進めてまいるようにしてもらいたいと考えております。 なお、工事の発注の適正化につきましてはこれはもちろんのことでございまして、適正でない点につきましては、今後とも十分調査をいたし、検討をいたしてまいりたいと考えております。 ○副議長(隅野源治郎君) 43番近藤正君。 ◆43番(近藤正君) いろいろ意見もありますが、残余のことについては各常任委員会でわが党の委員より深めてまいりたいと思いますので、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ◆19番(山口泰弘君) 動議を提出いたします。本日の質疑はこの程度で打ち切り、明7日午前10時より会議を開かれんことを望みます。 ○副議長(隅野源治郎君) 19番議員の動議にご異議ありませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○副議長(隅野源治郎君) ご異議なしと認めます。よって動議のとおり決しました。 △閉議 ○副議長(隅野源治郎君) 本日の日程は以上で終了いたします。 △散会 ○副議長(隅野源治郎君) 本日はこれをもって散会いたします。     午後5時15分散会---------------------------------------大阪市会議長  福岡たづ(印)大阪市会副議長 隅野源治郎(印)大阪市会議員  北山 篤(印)大阪市会議員  小林初江(印)◯大阪市会(定例会)会議録(昭和53年3月6日)(終)...